神前式を行う花嫁さまは、白無垢や色打掛など和装をお召しになる方が多いでしょう。
日本の伝統的な婚礼衣装に合わせて、綿帽子や角隠しなどヘア小物も古くからの習わしがあります。
一方で洋髪を和装に合わせるスタイルも定着してきたので、どんな髪型にしたらいいか迷ってしまうかもしれません。
「神前式はどんな髪型にしたらいい?」
「綿帽子ってなに?」
「和装に似合うヘアスタイルを知りたい」
など和装のヘアスタイルに悩んでしまう新郎新婦さまの疑問や不安に、元ウエディングプランナーがお答えします。
本記事では、和装に合わせた髪型の種類やヘア小物のしきたり、雰囲気に合わせたヘアスタイルをご提案。
白無垢や色打掛・引き振袖などに合わせて、どんな髪型にしたいかイメージしながら読み進めてくださいね。
神前式で選べる髪型
最初に、神前式を行う花嫁さまが選べる髪型をご紹介します。
100年以上前から行われてきた歴史のある神前式ですが、実は髪型についてはコレ!という決まりはありません。
和装に似合うヘアスタイルはどんなものがあるか、3つご紹介しますので目を通してみてくださいね。
1.文金高島田
日本の伝統的な着物姿に似合う「文金高島田(ぶんきんたかしまだ)」は、和装の花嫁さまの定番ヘアスタイルです。
文金高島田とは、まあるく結われた高さのある髷(まげ)が特徴で、側面などの毛流れを美しく整えてある髪型のこと。
江戸時代からあるヘアスタイルですが、現代ではかつらで作ることが多く、全かつらと半かつらの2種類に分かれます。
詳しく違いを見ていきましょう。
1.全かつら
頭をすべて覆う全かつらは、地毛はかつらの中にすべてしまい込みます。
頭の大きさや形に合わせてぴったりフィットするように、事前打ち合わせを経て調整していきます。
地毛を使わないため、ショートヘアなどどんな長さの方でも着用できるのがメリット。
2.半かつら
前髪や顔周りの地毛をかつらに沿わせてセットするのが半かつら。
生え際は自分の髪の毛を使うため馴染みやすく、柔らかで自然な雰囲気になります。
伝統的な髪型が気になるけど、いかにもかつらとなるのが苦手な花嫁さまにはおすすめ。
前髪や顔周りの髪の毛はある程度長さが必要です。
またお色直しで洋髪へのチェンジは、時間やスタッフの技術が必要になるので注意しましょう。
2.新日本髪
新日本髪とは、花嫁さま自身の髪の毛で文金高島田のように日本髪を結うこと。
本来の日本髪を結うびんづけ油や専用の道具を使わずに、ワックスやスプレー、ヘアピンなど現代の道具で作ります。
日本髪の結い方を簡略化しつつ櫛を通した艶やかな毛流れの美しさを保った、日本髪風のヘアスタイルです。
▼新日本髪の注意点
新日本髪は、新婦さまの地毛で結い上げるため、髪の長さが必要になります。
肩下15cm〜20cmくらいの胸元まで届く長さがあると綺麗に結えるでしょう。
前髪も鼻から口元まで伸ばしておくなど、新日本髪を結いたい花嫁さまは数ヶ月前から下準備が必要ですので注意してください。
3.洋髪
和装に洋髪を合わせるのも、今や定番です。
洋髪の場合も、襟足やうなじを見せるアップスタイルがすっきりとして和装に似合うでしょう。
タイトなまとめ髪では、凛としたカッコイイ女性の美しさを醸し出すことができます。
ふわふわのシニヨンスタイルは、淡い色合いの着物に似合うでしょう。
後ほど詳しくご紹介しますが、専用のヘア小物を使えば洋髪でも綿帽子を被ることができます。
▼ショートもOK
ショートヘアやボブでも大丈夫です。
- アイロンで巻いてふんわりと膨らみのある丸いシルエットに
- サイドだけ編み込みアレンジ
- 前髪をかき上げて、毛先はタイトに格好よく
- ヘアピンの重ね付けで個性的なモードスタイルに
など、意外と短い髪の毛でもアレンジのバリエーションがあります。
生花やパール、金箔などヘア小物で華やかさを出して、花嫁さまコーデを作りましょう。
神前式のヘアアクセサリー
神前式で着用するヘア小物についてご紹介します。
和装ならではのヘア小物の使い方や由来を知って、髪型やヘア小物を決める参考にして下さいね。
1.綿帽子
綿帽子とは、文金高島田を結った髪型の上から被る丸い大きな帽子状のもの。
嫁ぐまでは新郎さま以外には顔を見せないという意味合いがあり、ウエディングドレスでいうベールと同じような役割です。
花嫁さまの奥ゆかしさや恥じらいを表し、健気で初々しい女性の雰囲気を醸しだします。
綿帽子キーパーという小物を使用すると洋髪でも被ることができ、その後のヘアアレンジがしやすくなるでしょう。
▼綿帽子キーパーはこちら↓
▼白無垢にのみ合わせられる
綿帽子を被るのは挙式まで、かつ白無垢のみに合わせることができるという決まりがあります。
花嫁衣裳が色打掛や引き振袖などの時には、綿帽子は被ることができません。
かつては白無垢が1番格式が高く、挙式で着用する婚礼衣装とされていたからです。
2.角隠し
角隠しとは、頭を1周ぐるっと覆う帯状の白い布です。
怒りを表す角を隠し、嫁ぎ先に従うという意味が込められているそう。
角隠しは白無垢や打掛など、どの和装にも合わせることができ、挙式・披露宴を問わず着用できます。
綿帽子のように被るのではなく巻きつける形状のため、かんざしによって雰囲気が変わるでしょう。
▼文金高島田にのみ合わせられる
角隠しを合わせることができる髪型は、文金高島田のみ。
洋髪には合わせることができません。
丸みのある前髪から、ボリュームのある側面の鬢に沿わせて後ろは髷の結び目あたりで交差してとめます。
3.生花
生花は洋装・和装問わず、合わせることができます。
みずみずしい生花は花嫁さまのフレッシュさをより際立たせてくれるアイテム。
和装にはダリアやピンポンマム・胡蝶蘭などの花材が似合うでしょう。
和婚の髪型の選び方
和装に似合う髪型の選び方についてご紹介します。
シチュエーションや雰囲気ごとのおすすめのスタイルをご案内しますので、髪型選びに困ったときの参考になると幸いです。
披露宴でお色直しをする場合
披露宴でのお色直しを予定している場合は、お着替え後の衣装に合わせたヘアスタイルも考慮して考えましょう。
たとえば挙式は和装で行い、披露宴ではお色直しのドレスに合わせて洋髪にしたい場合などです。
洋髪にチェンジしやすい髪型を、和装の段階から考えておく必要があります。
和装で半かつらを使用すると、地毛とかつらをほどく時間が長くかかってしまうかもしれません。
髪型によってスタイルチェンジに時間がかかる可能性があるため、お色直しとの兼ね合いを考えて衣装や髪型を決めましょう。
- 半かつらなど時間がかかる髪型は前撮りだけにしておく
- お色直しでは髪型はそのままでヘア小物だけチェンジする
- お色直しで洋装を予定している場合は、和装に洋髪を合わせる
など、お色直しを短時間でできる工夫も合わせて考えるのがおすすめです。
白無垢を着る場合
白無垢を着る場合には、白無垢にのみ合わせることができる綿帽子を被る花嫁さまが多いです。
綿帽子を被る際の髪型は、文金高島田だと綺麗な綿帽子のフォルムが出来ます。
白無垢に洋髪を合わせたい方は、綿帽子の形を整えるための綿帽子キーパーを使用しましょう。
厳格な結婚式にしたい場合
厳かで格式のある結婚式にしたい場合は、伝統的な髪型を合わせる方が雰囲気が引き締まります。
洋髪よりも文金高島田や新日本髪など、古くから伝わるヘアスタイルで全体をまとめましょう。
また綿帽子や角隠しなどのヘア小物も用いた方が、より厳粛でフォーマルな印象になります。
カジュアルな結婚式にしたい場合
ファッションの1つとして和装をお召しになる場合は、洋髪を合わせてカジュアルな雰囲気にするのもおすすめ。
成人式など着物姿に洋髪を合わせる機会もたくさんあるので、慣れ親しんだスタイルになります。
洋髪ではふわっと柔らかい髪型もでき、凛とした佇まいになりやすい和装でも柔らかい雰囲気になるでしょう。
和装の後にドレスのお色直しを予定している場合には、洋髪から洋髪へのスタイルチェンジが短時間でできるのもメリットの1つです。
新郎の髪型について
新郎さまの髪型も、和装の場合はどうするのか気になりますよね。
和装に合わせる新郎さまの髪型は、新婦さまと同様に特別な決まりはありません。
新郎さまの紋付袴姿は重厚感があるので、ふわっとエアリー感よりもきっちりと艶のある髪型が似合います。
七三で分けて流すスタイルや前髪を上げておでこを出すなど、凛々しさを意識してくださいね。
まとめ:神前式でも洋髪OK! 好きな髪型で素敵な花嫁に
本記事では、神前式に合わせられる髪型やヘア小物の使い方、雰囲気ごとのおすすめのヘアスタイルをご紹介しました。
白無垢や色打掛に文金高島田などの伝統的な髪型を合わせて、格式の高い雰囲気でまとめる結婚式も素敵。
神前式後に披露宴でスタイルチェンジすることを考慮して、和装に洋髪を合わせるというのも1つの手です。
最近は、神前式だから、和装だからと古いしきたりにとらわれずに、花嫁さまは好きな髪型を自由に楽しめるようになってきました。
神前式にて和装を着こなす上で、どんな髪型にしたら良いか参考にしてくださいね。