白無垢に綿帽子は、日本の伝統的な花嫁衣裳。清楚で品のある姿に、憧れている女性も多いでしょう。
一方で、凛とした姿が美しい角隠しも素敵ですよね。どちらを選んだらいいか、迷う方も少なくないはず。
綿帽子と角隠しは、合わせる衣裳やヘアスタイルなど、決まりごとがいろいろあります。
そこで今回解説するのは、白無垢に合わせる綿帽子や角隠しとの違いについてです。似合う綿帽子の付け方や、ヘアスタイルについても紹介していきます。
「綿帽子が気になっている」「角隠しとどちらにするか迷っている」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
綿帽子と角隠しについて
まずは、綿帽子と角隠しそれぞれの意味や起源などを紹介していきます。
綿帽子
綿帽子とは、花嫁が頭に被る白い袋状の帽子のこと。白無垢と綿帽子の組み合わせは、神前式で着る最も格式が高い衣裳です。
▼綿帽子が持つ意味
顔を隠すように被る綿帽子には、次の3つの意味合いがあります。
ひとつは、挙式が終わるまで新郎以外には顔を見せないようにするというもの。
ウエディングドレスに被るベールと同じですね。
さらに、顔を隠すことで、花嫁の清らかさや恥じらいを表しているとも言われます。
また、花嫁を魔や災難から守るアイテムでもあるそうです。
▼綿帽子の起源
綿帽子の起源は、平安や鎌倉時代の高貴な貴婦人の外出スタイル。
当時は素顔を見られないように、袿(うちぎ)や衣(ころも)と呼ばれる衣服を被り、外出する習慣がありました。
また、整髪油のホコリ除けや、防寒の意味もあったようです。
いつしか真綿で作った帽子に変わり、時代と共に婚礼衣裳のひとつになって今に至ります。
▼綿帽子の種類
綿帽子というと、真っ白をイメージする方が多いでしょう。実は、ほかにもいろいろなデザインがあります。
- 刺しゅう入り:光の加減で模様が浮き出て見える
- 赤ふき:純白の綿帽子のふちに赤いライン
- 裏赤:表が純白で裏が赤色
- シースルー:オーガンジーやレースなど
白無垢のデザインや、懐に入れる装飾品の色とコーディネートするとよいですね。
▼着用タイミング
綿帽子を付けるのは、挙式の時のみとされています。
綿帽子は、夫婦の誓いを交わすまで新郎以外に顔を見せないように被るもの。
挙式後の披露宴でも白無垢を着るとしても、綿帽子は外すのが決まりです。
ただし、前撮りでなら被ってもかまいません。
当日はドレスだけど和装も着たいという方は、前撮りで綿帽子姿を撮るのもおすすめです。
角隠し
角隠しは、和装の婚礼衣裳の時に日本髪に巻く白い帯状の布のこと。綿帽子のように顔は隠しません。
▼角隠しが持つ意味
角隠しの「角」は鬼や悪霊の頭に生えている角のことで、古くから怒りや反抗心の象徴とされてきました。
花嫁が角隠しを付けるのは、角を隠すことで夫に尽くす、しとやかな妻になることを意味しています。
古来、嫉妬に狂った女性は鬼になると考えられていたこともあり、婚家に従順にという意味も込められていたのでしょう。
▼角隠しの起源
角隠しの起源は諸説あります。
物売りの女性たちが物を頭に載せて運ぶ時に髪が汚れないように白い布を巻いた
お寺に参る女性が髪の生え際を隠すために頭を覆った「すみかくし」が、婚礼に用いられるようになった
江戸時代の後期に、歌舞伎役者の格好を女性たちが真似て広まった
どちらにせよ、時代を経て今の形に変化していったということですね。
綿帽子と角隠しの違い
次に、綿帽子と角隠しの違いを解説していきます。
イメージや雰囲気について
綿帽子は白無垢と揃いで白をまとい、顔の一部を隠すように付けることから、清らかさや奥ゆかしさを感じられるのが特徴です。また、前や後ろから見ると丸みのあるラインが際立つため、可愛らしいイメージを持つ方も多いでしょう。
一方で、角隠しはフェイスラインをしっかり出すので、凛としたシャープな雰囲気に見えるのが特徴です。気品があり、洗練された伝統の花嫁姿を演出できます。
合わせられる衣裳について
綿帽子は挙式のみに着用し、合わせられる衣裳は白無垢だけです。そのため、白無垢に綿帽子姿が、神前式で最も格式が高い衣裳とされています。
一方で、角隠しは挙式だけでなく、披露宴で着用してもかまいません。合わせる衣裳の決まりもないので、白無垢以外の色打掛や引き振袖など、どの和装の婚礼衣裳にも合わせられます。
角隠しは綿帽子より自由度が高いので、コーディネートの幅も広いですよね。
髪型の制約について
綿帽子は頭を隠すように付けるため、合わせる髪型に制限はありません。文金高島田のかつらを使った日本髪や、現代風にアレンジした新日本髪だけでなく、洋髪でも大丈夫です。
洋髪だと挙式後すぐドレスに着替えることができるので、披露宴前のお仕度の時間を短縮できます。
一方で、角隠しは髪型を一部見せて付けるので日本髪のみです。もしくは、自髪で結った日本髪でも着用できます。
似合う綿帽子の付け方
綿帽子を付けるときは、バランスが大切です。似合う綿帽子の付け方や注意点を解説するので、参考にしてください。
綿帽子が似合う顔の特徴
綿帽子は、丸顔や若く見られがちな方、かわいらしい雰囲気の方に特に似合います。和風の顔立ちの方にも、伝統的な綿帽子がよく似合うでしょう。
角隠しは凛とした雰囲気になりますが、奥ゆかしい花嫁姿に憧れる方には綿帽子がぴったりです。
また、顔立ちにコンプレックスがある方は、綿帽子がフェイスラインをカバーしてくれます。あまり顔を見られたくないという方にもおすすめです。
綿帽子を付けるときの注意点
綿帽子を付ける位置やサイズによっては、バランスが悪く不格好に見えてしまいます。
深く被りすぎると目元に影ができてしまい、暗い印象を与えてしまうでしょう。また、浅く被りすぎると顔が出すぎてしまい、フェイスラインが膨張して見えてしまうことも。
サイズも小さすぎると窮屈に、大きすぎると頭が重く感じてしまいます。特に、背の低い方は、全身のバランスを考慮して付けることが大切です。
洋髪に合わせるときのポイント
綿帽子は、高さや幅のある文金高島田の日本髪に合うように作られています。そのため、洋髪に合わせるときは、綿帽子キーパーと呼ばれる高さを出す専用器具が必要です。
また、綿帽子は、シンプルなまとめ髪だけでなく高めのお団子ヘアやゆるふわシニヨンなど、どのような髪型にも似合います。
ヘアアクセサリーも付けられるので、大きめのお花やヘッドドレスなどをちらりと見せるのもおしゃれです。
前髪のセット方法
日本髪は前髪を上げますが、洋髪で綿帽子を付けるときは前髪を下ろしてもかまいません。斜めに流すと大人っぽく、短く切り揃えると可愛らしい雰囲気になりますよ。
日本髪は、正面から見た時に前髪と左右の3か所が同じ分量になるよう被ります。しかし、洋髪で前髪を下ろす場合は、少し浅めにすると現代風でおしゃれに。
綿帽子にはいくつかサイズもあるので、一番バランスよく見えるものを選びましょう。
まとめ:自分にぴったりな和装をしよう
白無垢と綿帽子は、奥ゆかしさや清らかさを感じられる日本の伝統的な花嫁姿。特に、綿帽子は白無垢での挙式でしか着用できないため、一番格式の高い婚礼衣裳です。
また、綿帽子は洋髪でもOKなので、披露宴への支度時間が短縮できるというメリットもあります。
一方で、角隠しは、凛とした気品のある花嫁姿が魅力です。白無垢以外の和装に合わせることもできます。
自分のなりたいイメージに合わせて、憧れの和装での結婚式を叶えましょう。