結婚式に列席するときは、披露宴で振る舞われる料理も楽しみのひとつですよね。しかし、普段食べ慣れていないスタイルでのテーブルマナーに、不安を感じる方は少なくありません。
「ナイフとフォークはどれを使うの?」「ナプキンの扱い方は?」など気にしながらでは、料理を十分に堪能できないでしょう。
そこで今回は、結婚式でのテーブルマナーについて元ウエディングプランナーの筆者が徹底解説していきます。
結婚式が初めての方もマナーに自信がない方も、披露宴を十分楽しめるようにしっかり学んでいきましょう。
披露宴での基本的な食事のマナー
最初に、披露宴での食事における基本的なマナーを解説していきます。
次の5つのポイントを押さえておけば、かしこまった席にふさわしい上品な振る舞いができますよ。
食べるペースを周りと合わせる
フォーマルな場では、適度な会話をしながら食事を進めるのがマナーです。会話に夢中で料理が進まないといったことがないよう、食べるペースを周りと合わせましょう。
披露宴では、おおよその料理の提供タイミングが決まっています。また、お皿は一気に配膳されるので、食べるのが遅いとテーブル全体のペースを乱してしまいかねません。
音を立てない
食事をしている時に、音を立てないこともマナーのひとつです。
ナイフやフォークを使う時の当たる音や、お肉を切る時のお皿とナイフがこすれる音などに注意しましょう。力を入れすぎずに丁寧に扱えば大丈夫です。
また、ものを噛む時やスープをすする時に音を出すのもマナー違反です。食事の音はなるべく出さないように注意しましょう。
パンのマナー
パンは、配られたらそのままかじるのではなく、手でちぎって食べるのがマナーです。肉料理が終わるまでに食べ切るようにしましょう。
一口分ずつバターを塗るか、そのまま食べてもかまいません。
また、料理のソースをつけて食べる方もいますが、フォーマルな場では避けた方がよいでしょう。スープに浸して食べるのもNGです。
スープのマナー
スープは、スプーンで手前から奥にすくって食べます。奥から手前にすくうのも間違いではありませんが、一般的に浸透しているマナーは手前からです。
器を持って傾けるのはNGなので、すくえなくなったら残っていても完食となります。スープをきれいに飲み干す必要はありません。
また、スープが熱くても息を吹きかけるのは止めましょう。
ナプキンやカトラリーを落とした時の対応
ナプキンやカトラリーを落とした時に、自分で拾うのはマナー違反になります。周りの人に「失礼しました」とお詫びをし、近くにいるサービス係に声を掛けましょう。
ナプキンは拾って渡してくれますし、カトラリーはすぐに新しいものを用意してくれます。テーブルの定位置に並べてくれるので、揃うまで待っていれば問題ありません。
ナプキンの基本マナー
飾り皿の上に置いてあるナプキンも、どう扱ったらいいのか迷う方が多いでしょう。次は、ナプキンの基本マナーを解説していきますね。
ナプキンを広げるタイミング
ナプキンは、乾杯後に着席したタイミングで広げましょう。
レストランで食事をする時は、ワインが注がれるタイミングでナプキンを広げます。しかし、披露宴では乾杯の時に起立するため、先に広げてしまうと一旦置く必要が出てしまうからです。
また、乾杯後はすぐに料理が運ばれてくるので、その前に広げておくと待たせずに済みます。
ナプキンの使い方
ナプキンを広げたら裏面を内側に二つ折りにして、輪になる方を自分に向けて膝の上に置きましょう。ナプキンの端を首元に入れて下げるのはNGです。
ナプキンは、口元や手の汚れを拭くためのもの。指先を拭く時は、折った内側を使います。口元を拭く時も、ナプキンを持ち上げて内側で軽く押さえるように拭き、元の場所に戻しましょう。
席を立つときの置き方
披露宴中は、新郎新婦がいる高砂席へ行っての挨拶や写真撮影、お手洗いに行くなどの席を立つ機会が少なくありません。
離席する時に、ナプキンをテーブルの上に置いて立つ方もいますが、マナーとしてはNGです。
ナプキンは椅子の上に正方形の四つ折りにして置くか、椅子の背もたれに細長い四つ折りにして掛けて離席するとスマートです。
食べ終えた後の置き方
料理をすべて食べ終えたら、ナプキンをテーブルの上に置きます。その際、きれいに畳んで置く方もいますが、マナー違反になるので気を付けましょう。
食事後にナプキンをきれいに畳むのは「料理やサービスに満足できなかった」サインとされているからです。
あまり乱れているのもよくないですが、適度に崩した感じにしておけば問題ありません。
カトラリーとグラスの基本マナー
コース料理で一番難しいと感じるのが、カトラリーやグラスの扱い方ではないでしょうか。順番に解説するので、しっかり理解しておきましょう。
カトラリーの使い方
コース料理ではカトラリーが最初から置いてあり、飾り皿の左のフォークは外側からオードブル、魚、肉用になります。右側にはナイフとスプーンがあり、外側からオードブル、スープ、魚、肉用です。
料理が来たら、外側のカトラリーから使うと覚えておきましょう。もし間違えても、サービス係が新しいものを持ってきてくれます。
また、持ち方はフォークを裏側、ナイフは刃を下にして人差し指を柄に添って伸ばし、後は軽く握るように支えればOKです。
カトラリーの置き方
食事の途中でカトラリーから手を離す時は、お皿の上にナイフとフォークを「ハ」の字に置きます。フォークは裏側、ナイフの刃は内側に向けて置きましょう。
食事が終わった後は、「ハ」の字の右側になるナイフの手前にフォークを平行に揃えて置くと、終わりのサインになります。この時のフォークは上向きに、ナイフは刃を内側に向けて置きましょう。
また、スープは飲み終わったらスプーンを上向きにして、受け皿の手前に置くと終わりのサインになります。
乾杯とグラスのマナー
テーブル上にはグラスもいくつか並んでいますが、サービス係が飲み物に合ったグラスに注いでくれるので心配いりません。
ドリンクが注がれる時は、グラスを持ち上げないのがマナーです。
また、乾杯の時はグラスを持って立ち上がります。グラスの付け根の脚部分を、指先を揃えて持つとスマートです。
乾杯の掛け声があったら、グラス同士を当てずに目の高さまで上げて、周りと目礼を交わします。一口飲んだらグラスを置いて拍手しましょう。
和食時の食事マナー
料亭での結婚式や和婚では和食の会席料理が出ることもありますが、フォーマルな席での和食のマナーに迷う方も少なくありません。
和食は箸でいただくのでフレンチほど難しくないですが、やりがちなNGマナーや迷いがちなポイントを紹介していきますね。
NGな箸の使い方
和食の時に気を付けたいのが、箸の使い方です。次の3つはマナー違反なので注意しましょう。
- 渡し箸
- 寄せ箸
- 刺し箸
▼渡し箸
渡し箸とは、食事の途中で器の上に「橋」のように箸を乗せること。
「もういりません」のサインになることと、きれいではない箸先を見せてしまうことからよくないとされています。
会話をしたい時や食事の合間、席を立ちたい場合などは、箸置きを使いましょう。
▼寄せ箸
寄せ箸は、遠くにある料理を引き寄せるために、器の縁に箸を掛けて引っ張る行為のことです。
所作が美しくなく周りの人を不快に感じさせてしまうため、マナー違反とされています。
器を近くに持ってくる時は箸を置き、両手で持ち上げて引き寄せましょう。
▼刺し箸
刺し箸は、料理に箸を突き刺して食べることを言います。
行儀が悪いだけでなく、料理への火の通り具合を疑っているように見えるため、作り手に対しても失礼だとされる行為です。
料理は一口大に切り、箸に挟んで品良く食べましょう。
汁物の蓋の扱い
汁物の蓋を開ける時は、左手でお椀を押さえて右手で蓋を持ち上げます。開けにくい場合は、左手でお椀をつぶすように少し力を入れると外しやすいですよ。
外した蓋は裏返しにして、お椀の少し奥に置きましょう。
食べ終わったら、出された時と同じように蓋を被せておきます。その時に、正面の柄を合わせて閉めるとスマートです。
まとめ:披露宴では食事マナーに気を配ろう
結婚式での披露宴の料理も楽しみのひとつですが、フォーマルな場では食事のマナーに気を配ることが大切です。
マナー違反は所作が美しくないだけでなく、流れを途切れさせたり周りに不快な思いをさせたりすることもあります。
今回は、カトラリーの使い方やナプキンの扱いなど、結婚式における基本的なテーブルマナーについて解説してきました。
事前にマナーを知っておき、当日は慌てずに振る舞って、料理を十分に楽しみましょう。