お車代を用意するとき、分からないことだらけで行き詰る方も多いです。マナーを知らずにゲストに不快な思いをさせたり、恥をかくのは避けたいところですよね。渡せればなんでもいいだろうとは思わずに、きちんと準備しましょう。
決まり事は多いですが、自由に裁量を持って取り組める部分もあるので、節約することも可能です。
本記事ではお車代を用意するときに知っておくべきマナーや知識を元ウエディングプランナーがまとめました。誰に用意するべきなのか、金額はいくらなのかといった基礎的な情報も満載です。
封筒に関するマナーも載せていますので、準備する段階で慌てることもありません。表書きや中袋、水引きの選び方も紹介しています。当日の渡し方も解説していますので、シミュレーションも完璧です。
マナーや決まり事を再確認して、正しく賢くお車代を準備しましょう。かけようと思えば予算をかけられる部分です。どこまで用意するのかはお二人でよく話し合ってください。持ち出しが多くなりすぎても負担になってしまうので、本記事を参考に線引きしてみましょう。
なぜお車代を渡すのか
そもそもお車代とは何のために渡すものなのでしょうか。
交通費として渡しているのかと思いきや、主賓やスピーチを行った人にも渡します。
つまり、交通費として渡す以外に、御礼の気持ちとして渡すものでもあるということです。
直接現金を御礼として渡すのは憚られるため、多めの交通費として御礼の気持ちを表現します。
交通費や宿泊費を用意する必要がないと言われたとしても、御礼の気持ちとして渡すのがマナーです。
そのため遠方からのゲストの他、主賓、乾杯の発声者、スピーチを依頼した人、余興を行った人などにも用意する必要があります。
それぞれで用意する金額や封筒の種類が異なり、なんでもいいわけではありません。
間違えるとマナーを知らない人なのだと思われてしまいます。
常識として知っておくべきことでもあるので、本記事を読んで当日に備えてください。
誰にいくら渡せばいいのかについては以下の記事が参考になります。
封筒の選び方:いくら包むかに合わせて選ぼう
まず用意する入れ物ですが、ゲスト側のご祝儀と同様に包む金額に合わせて選びます。
包んだ金額が多くないのに豪華なご祝儀袋に入れたり、高額なのにポチ袋に入れることはしないでください。
中身と釣り合っていないものに入れることはマナー違反です。
以下金額に合わせてどんなものにすればいいのかを紹介します。
1万円未満の場合
5000円未満であったり、1万円包まないのであればポチ袋で渡して大丈夫です。
宿泊は伴わないが、遠方から来るゲストや余興者などが当てはまるでしょう。
比較的カジュアルに渡すことができるので、デザインの自由度は高くなっています。
文房具店などでも気軽に安価で手に入るので、予算の抑えどころです。
ほんのきもちとして渡すので、水引きやのしがついているかを気にする必要はありません。
包んだ金額や結婚式の雰囲気に合わせてデザインを考えてみてください。
▼手作りの小さいポチ袋もおすすめ
手作りの封筒で渡す方も多くいらっしゃいます。
お二人だけのオリジナリティあふれる封筒でお車代を受け取るゲストも、嬉しい気持ちになるのではないでしょうか。
後半で紹介する封筒のマナーも参考に作ってみてください。
市販の普通の封筒に装飾を加えるのが、もっともお手軽な作り方です。
元のデザインが結婚式らしいものを選べば、さほど苦労せずにお車代の封筒が作れるでしょう。
▼ポチ袋の場合のお札の包み方
ポチ袋はサイズが小さいため、お札を入れるときは三つ折りにします。
折り方は、表面が中に来るように左、右の順で折ってください。
包み方を間違えても何かあるというわけではありませんが、分かる人には分かるポイントです。
今まで気にしたことがなかった方も、この機会に気にするようにしてみてはいかがでしょうか。
1万円以上、2万円未満の場合
こころばかりの金額よりももう少し色をつけて1万円~2万円ほど渡す場合は、少しかしこまった雰囲気のものがぴったりです。
宿泊を伴うゲストや、主賓、スピーチを行った人、乾杯の発声者などに渡すことになります。
次の項目で水引きの選び方などを紹介しているので、目を通してもらえたら嬉しいです。
結婚式のご祝儀袋を参考にするとよいでしょう。
▼のし・水引が印刷された簡易的な封筒でもOK
1万円、2万円程度の金額におすすめなのが、略式のご祝儀袋です。
正式なご祝儀袋を使うほどの金額ではないが、ポチ袋を使うには高額だと思う場合にピッタリの封筒となっています。
略式のご祝儀袋とは、のしや水引きが印刷されている封筒のことです。
水引きなどがかかっていない分カジュアルに渡すことが可能ですが、お札を折らずに入れられるサイズのものもあります。
2万円や3万円、5万円以上の場合
3万円など多く包む場合は正式なご祝儀袋を使用してください。
遠方から来る主賓や、特にお世話になった人などに渡すこともあるでしょう。
金額に合わせてご祝儀袋の豪華さも変える必要があります。
気遣いの心も込めて準備しましょう。
知らないと損するマナーもありますので、次の項目も参考に封筒を選んでみてください。
封筒を用意するときのマナーまとめ
実際用意してみようとすると、知らないことが多くて立ち往生してしまうのはよくあることです。
なんでもいいやと適当に用意してしまうと、常識知らずなお二人の結婚式だったと思われてしまうかもしれません。
そうならないためにも、お車代の封筒を用意するときのマナーについて知っておきましょう。
以下マナーについてまとめたので、一度目を通してみてください。
新札で用意する
お車代についても、もちろん新札で用意します。
直前に調達しようと思っても難しいことがあるので、早め早めに新札を貯めておきましょう。
また、封筒に入れるときは裏表に注意してください。
せっかく封筒を完璧に用意できたのに、お金の入れ方を間違えてしまってはもったいないです。
最後まで完璧に仕上げましょう。
表書きの書き方
表書きについては「御車代」「御車料」「御礼」「寿」「こころばかり(ポチ袋のみ)」がよく使われます。
購入する場合はあらかじめ印刷されているものもあるので、別の文字が入っていないか注意しましょう。
名前の書き方
お二人の名前の書き方です。
新郎様のゲストへ渡すものには新郎様の名前、新婦様のゲストに渡すものには新婦様の名前を書きます。
共通のゲストの場合は、右側に新郎様の名前を書き左側に新婦様の名前を書きましょう。
渡し先である相手の名前は書きません。
宛名を書かないためどれが誰に渡すものであるか分かるように付箋で名前を貼っておいて、渡す直前に外すのがおすすめです。
また、ご祝儀袋に名前を書くときにボールペンやサインペンは使わず、毛筆や筆ペンを使用してください。
もちろん鉛筆やシャーペンの使用はもってのほかです。
ポチ袋について厳格な決まりはないので、二人の名前が印刷してあるというような状態でも問題ありません。
封筒の封について
封筒に封はしないのが基本になります。
これはあくまで交通費として渡し、すぐに使ってもらうことを前提にしているためです。
どうしても開いているのが気になるのであれば、のり付けではなくシールで軽く留めましょう。
水引きについて
黒白や黄白のものを選ばないのはもちろん、蝶々結びのものも避けてください。
蝶々結びは簡単に結びなおせることから、何度起こってもいいお祝い事に使われます。
結婚式は何度も繰り返さないほうがいいものです。
略式、正式問わず簡単にはほどけない結び切りやあわじ結びになっているものを選びましょう。
包む金額が上がってくると鶴や亀を模ったものも選択肢になってきます。
ふさわしい水引きの色は赤白や金銀などです。
そして結婚式で使うものなので、10本1組になっているものを使用してください。
通常は5本1組ですが、新郎新婦様が1つになり喜びが2重になるということを表現して10本のものを使います。
中袋について
お車代の中袋には何も書きません。
ゲストから新郎新婦様へのご祝儀には書きますから、こちらにも書きたくなるかもしれませんが、書かなくて大丈夫です。
交通費だとしても御礼の気持ちとして渡すものと考えれば、金額を書く必要はないと納得しやすいのではないでしょうか。
ご祝儀袋の裏面の折り方
正式なご祝儀袋の場合、封筒の裏面の折り返しについて上下どちらを上にすればいいのかとっさに分からないこともあります。
特に当日急に用意することになった場合、間違えるわけにはいきません。
お祝い事の席なので、下の折り返しが上です。
幸せを受け止めるために下の折り返しを上にする、と覚えましょう。
葬儀の時などは逆になります。
交通費としてはどこまで渡すべきか
さて、交通費としてお車代を渡す場合、どこで線引きをするべきか悩むことになるでしょう。
一番多いのは交通手段で線引きをすることです。
電車でくるゲストには渡さず、新幹線で来るゲストには渡すといった判断基準もあります。
新幹線、特急列車、飛行機など手段によって用意するのかどうか、いくら渡すかを変えるのも1つの手でしょう。
または価格を判断基準にすることも1つの方法です。
片道でいくらかかるのかを算出してみて、渡す金額を決める参考にしてもよいでしょう。
ちなみに宿泊費を出す場合の渡し方ですが、人によって対応はまちまちです。
宿泊費の半額と交通費を渡す方もいますし、宿泊費のみ渡す方もいます。
渡す方との関係性なども考慮して決めてみてください。
交通費としてのお車代をどこまで出すかについては以下の記事で詳しく解説しています。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6833/
当日の渡し方
いざ当日ゲストに渡すときに、どうすべきか確認しておきましょう。
交通費として渡すのか、御礼として渡すのかで方法を変えることがおすすめです。
お二人は式に忙しく渡している暇はないので、受付係か親御様から渡すことになります。
タイミングは受付時か披露宴前、またはお色直し中の時間です。
1.交通費として渡す場合
交通費として渡す場合は、受付で渡しましょう。
お車代リストを作り渡し漏れがないように気を付けてください。
親族に渡す場合には、より丁寧に披露宴前や披露宴中に親御様から渡しても大丈夫です。
2.御礼として渡す場合
御礼として渡すものなので、御礼の言葉とともに渡すことができる披露宴前や披露宴中に親御様から渡します。
こちらも渡し漏れがないようにリストを作り渡しておくと安心です。
席次表に印をつけて渡すのもおすすめですよ。
よく聞かれたお車代についての質問
本項目では実際に聞かれたお車代の封筒に関する質問について解説していきます。
よく聞かれた質問を抜粋しましたので、参考にしてみてください。
Q.封筒は100均で買っても失礼に当たらないのか。
A.100均で買った封筒を使用しても失礼にはあたりません。
大事なのはマナーを守って用意できているかどうかです。
Instagram などでも紹介がなされていますが、セリアやダイソーで購入した封筒をDIYする方も多くいらっしゃいます。
最近の流行りはトレーシングペーパーですね。
100均は商品の種類が豊富なので、ピンと来る封筒がきっと見つかるでしょう。
Q.目上の方にもサイズが小さいポチ袋で渡してもいいのか。
A.目上の方に対しては、できればポチ袋以外の封筒が好ましいです。
敬いの気持ちを込めて、略式のご祝儀袋かご祝儀袋で渡しましょう。
よほど特別仲が良くてカジュアルな結婚式でもない限り、しっかりしたものを選ぶのがおすすめです。
Q.相手へのメッセージを添えていいのか。
A.メッセージを添えるのは大丈夫ですが、あまりおすすめはしません。
宛名を書けませんので万が一の渡し間違いもありえますし、席札にメッセージを添える方が大多数です。
個別にメッセージを送りたい場合は、別の方法で伝えてみてはいかがでしょうか。
お車代は賢く用意しよう
お車代のマナーについて紹介しました。
決まり事も多いですが、ゲストに気持ちよく御礼の気持ちを伝えられるように気にしていきましょう。
なんでもいいやと適当にはせず、賢く御礼の気持ちを用意してみてください。
ポチ袋を自作する場合、比較的自由度は高いですがなんでもいいわけではありませんので、マナー違反にならない程度に抑えましょう。
自作のほうが安く済むこともあります。
金額が低い場合はご祝儀袋でなくてもよいので、節約できるところは節約してみてください。
お車代を正しく準備する参考になれば幸いです。