宗教やしきたりに囚われない人前式が人気を集めています。ただ、最近の挙式スタイルですから分からないことも多いのではないでしょうか。
「費用が安く済むって本当?」
「どんなセレモニーになるの?」
「人前式の魅力を知りたい」
本記事では元ウエディングプランナーが人前式について丸ごと解説しています。基本的な知識から、人気の演出まで紹介しているので疑問点を解消できるでしょう。
人前式で結婚式をあげるかどうか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。人前式で理想の結婚式を叶えましょう。
人前式の基本知識
人前式とは4つある挙式スタイルのうちの1つで、他3つの挙式スタイルと違い宗教色がないのが特徴です。ゲストと一緒に作り上げるという側面が大きく、アットホームな結婚式にしたい新郎新婦様に人気があります。
人前式とは何か? 特徴や読み方
人前式(じんぜんしき)とは読んで字のごとく、人=ゲストの前で行う挙式です。ウエディング業界では神前式(しんぜんしき)と区別しやすくするために、「ひとまえ式」と呼ぶこともあります。
決まり事に縛られず、進行内容などは自由に決めることが可能です。茶婚式や祝言も人前式に含むことができるでしょう。
かしこまった雰囲気よりは、アットホームな雰囲気になりやすく、ゲストと一緒に作る結婚式という側面が強いです。挙式会場の制限が少なく、許可があればどこでも開催できます。
人前式のメリット
人前式のいいところとして以下の5つが挙げられます。
- 宗教にとらわれない自由なスタイルが実現可能
- 友人と楽しむアットホームな挙式になる
- 結婚式場の選択肢が多い
- 衣裳に縛りがない
- 費用が比較的安い
詳しく見てみましょう。
1.宗教にとらわれない自由なスタイルが実現可能
教会式や神前式では堅苦しすぎると感じる方は、人前式がおすすめです。友人たちに囲まれて笑顔溢れる挙式にもできます。
BGMの縛りもないため、目指したい雰囲気に合わせて自由に曲を選びましょう。
2.友人と楽しむアットホームな挙式になる
参加型の演出も組み込みやすいので、友人と楽しむことに重きを置いた挙式も可能です。司会進行についても牧師などではなく、司会者が務めるので砕けた雰囲気で進行できます。
3.結婚式場の選択肢が多い
教会式ではチャペルでないと挙式ができませんが、人前式では立会人がいればいいので場所の制限がありません。やり方も時間も自由なので、場所も自由に決められます。
4.衣裳に縛りがない
宗教色のない挙式スタイルなので、衣裳に縛りはありません。和装でも洋装でも、婚礼衣装でなくても大丈夫です。
あえてラフな格好で挙式を行う方もいらっしゃいます。ゲストの服装も自由に決められるという点もメリットです。
5.費用が比較的安い
教会式などと比べて聖歌隊などを呼ぶ必要もないので、費用を抑えて開催可能です。場所や演出も節約すれば総額はかなり抑えられるでしょう。
人前式のデメリット
注意点としては、以下の2つが挙げられます。
- 高齢者にはまだ馴染みがない
- 厳かな雰囲気にはなりにくい
詳しく見てみましょう。
1.高齢者にはまだ馴染みがない
人前式はゲストにとって馴染みがあるスタイルとは言い切れませんので、挙式の際に戸惑うゲストがいるかもしれません。事前に挙式スタイルについての説明アナウンスを入れるなどの工夫があるとよいです。
2.厳かな雰囲気にはなりにくい
アットホームな雰囲気を作れる半面、厳かな雰囲気は作りにくいです。静粛な雰囲気を目指す場合は教会式や神前式を検討しましょう。
人前式にかかる費用
人前式では比較的費用を抑えることができます。総額で見ても挙式料が安い分他の挙式スタイルよりは抑えることができるでしょう。
費用の内訳と目安
人前式の挙式料は10万円~15万円程が相場です。他の挙式スタイルだと20万円前後が相場になってくるので、比較的安いと言えます。
ただ、オーソドックスな内容であればの話なので、やりたいことを詰め込んでいくと見積もりも跳ね上がっていく可能性が高いです。
主に挙式料と司会者への謝礼、なにか演出を行う場合は演出の小物費用などがかかってきます。
費用削減のコツ
一番費用を抑えられるのはレストランでの宴内人前式です。
宴内人前式にすることで、別途挙式の会場を借りる必要がなくなり、披露宴会場だけで結婚式が済みます。また、レストランウエディングは費用が抑えやすいので、総額も高くなりにくいです。
会費制のウエディングにすれば、自己負担額を100万円未満に抑えることも不可能ではありません。
レストランウエディングについては以下の記事も参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/5822/
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/2065/
人前式の流れ
以下が基本的な人前式の流れです。
このテンプレートを元に、各プログラムを入れ替えたりアレンジしてオリジナルな挙式の流れを創り上げていきます。
1.新郎新婦入場
入場の仕方については教会式の形式に従うことが多いです。まず新郎様が入場し、その後新婦様が父親(もしくは母親)と一緒にバージンロードを歩いて入場します。
一緒に花びらを撒いてくれるフラワーガールと入場しても雰囲気を華やかにしてくれるでしょう。
2.開式宣言
司会者が「これより新郎〇〇さん、新婦〇〇さんの人前結婚式を開式いたします」などの宣言を行ったら、挙式スタートです。
このとき司会者から参列者に対して立会人としての役割をお願いし、結婚の誓いを見届けてもらうことを説明します。参列者全員が結婚の証人となるという特別な意識が生まれ、一体感が出るでしょう。
3.誓いの言葉
誓いの言葉は、新郎新婦が参列者の前で結婚の誓いを立てる場面です。この部分は人前式のオリジナル性を最も発揮できる重要なシーンとなっています。
宣誓文と誓いの言葉はお二人が同時に読み上げる、それぞれ順番に読み上げる、または新郎が代表して読み上げるなど、形式は自由です。お二人の約束や思いを込めた言葉を用意し、ゲストに対して誓うことで式全体が感動的で意味深いものとなります。
4.指輪交換
誓いの言葉の後は指輪交換を行います。オリジナルのリングピローを用いたり、婚約指輪も用いてエンゲージカバーセレモニーを行うことで印象に残る挙式になるでしょう。
5.誓いのキス
教会式を参考にする場合、指輪交換の後に新郎が新婦のベールを上げ、誓いのキスを行います。しかし、人前式では形式にとらわれる必要はありませんので、誓いのキスをしないことも可能です。
また唇ではなく頬やおでこへのキス、あるいは子どもにキスをする演出も人気があります。誓いのキスについては以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
どのパターンでも問題ないのが人前式のメリットです。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6568/
6.結婚証明書へ署名
結婚証明書への署名も、形式にとらわれずに行うことができます。オリジナルの結婚証明書を自作する方も増えており、受付時にスタンプを捺してもらうウエディングツリーやウエディングキャンバスの結婚証明書も人気です。
署名する際は、お二人に加え事前に選んだ代表立会人からもサインをもらいます。また、入籍前であれば婚姻届に署名を行う演出を取り入れる方も多く、これも一つの記念になるでしょう。
結婚証明書については以下の記事で詳しく解説しています。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/4600/
また、証明書ではなく、オリーブの木を植える植樹の儀や砂を注ぐサンドセレモニー、水合わせの儀も人気です。
7.立会人の承認
司会者がサインの済んだ結婚証明書や婚姻届を参列者に示し、お二人の結婚が正式に成立したことを宣言します。ゲスト全員が立会人としてお二人の結婚を承認し、結婚を祝福する一番盛り上がるシーンです。
8.結婚成立宣言
結婚成立宣言は、司会者や立会人代表によって行われる、結婚が正式に認められたことを宣言する場面です。「ただいまをもちまして、○○さんと○○さんの結婚が成立しました」といった言葉で、結婚宣言を行います。
9.閉式宣言
閉式宣言は、司会者によって「これにて新郎○○さん、新婦○○さんの人前結婚式を結びとさせていただきます」と告げられる場面です。この宣言があることで挙式が正式に終了し、次の披露宴やパーティに移行します。
10.新郎新婦退場
閉式宣言の後は新郎新婦の退場です。退場の際も独自の演出が可能で、例えば参列者からのフラワーシャワーやライスシャワー、バブルシャワーなどで華やかさを演出することができます。
人気の人前式の演出アイデア
人前式で人気の演出アイデアを紹介していきます。
以下の記事でより詳しく解説しているので、併せて目を通してみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/7258/
誓いの言葉
人前式といえば誓いの言葉ですが、教会式で言うところの牧師からの問いかけです。教会式のように牧師役がいてもいいですし、お二人で誓いの言葉を読み上げる宣誓式も人気があります。
「誓いますか?」と呼びかけてもらう場合は、司会者か立会人代表から呼びかけてもらいましょう。
▼宣誓文はゲストに考えてもらっても
誓いの言葉をお二人で読み上げて誓うというイメージがあるかもしれませんが、ゲストから呼びかけてもらうのも人気です。ゲストにあらかじめ考えてきてもらったり、当日募集するというアイデアもあります。
友人に頼む場合は以下の記事も参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6498/
▼誓いの言葉例文
「病める時も 健やかなる時も」と誓いを立ててもいいですし、「どれだけ体重が増えても 朝帰りしようとも」とお二人らしい言葉を選ぶ方も多いです。
パパママ婚の場合は、お子様も活躍する演出を組み込みたいのではないでしょうか。親子でできる演出については以下の記事で解説しています。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6295/
ゲスト参加型の演出
ゲスト参加型の演出を組むと一体感が出ます。ゲストと一緒に作る結婚式にしたい方は参考にしてみてください。
1.リングリレー
リングリレーとは長い1本のリボンに結婚指輪を通し、ゲストに指輪を運んできてもらう演出です。用意するものも少なく実施できます。
2.ダーズンローズ
再プロポーズを考えている方におすすめです。12本のバラをゲストから受け取ってブーケを作り、新郎様から新婦様にプレゼントする演出となっています。
ダーズンローズを受け取ったらブーケから1本のバラを抜き、新郎様の胸に挿してください。これで返事はYes とみなされます。
サプライズ演出
人前式では自由にプログラムを組めるので、サプライズも可能です。一生の思い出に残る瞬間を演出しましょう。
1.手紙を用意して読み上げ
誓いの言葉を読み上げる、と思いきや手紙だった……なんてサプライズもできます。再プロポーズを考えている方にもおすすめです。
気持ちのこもったメッセージをパートナーに届けましょう。
2.サプライズリングボックス
リングガール・リングボーイを参列者の中からサプライズで指名する方法の1つです。
あらかじめ座席にボックスを用意しておき、うち一つに結婚指輪を仕込んでおきます。指輪交換のタイミングで一斉にボックスを開けてもらい、中に指輪が入っていた人にリングガール・リングボーイを務めてもらいましょう。
笑いアリの挙式
笑顔に囲まれた挙式にしたい方は以下のアイデアも参考にしてみてください。実現が難しくてもムービーなら再現できるということもあるので、難しくても実現できる方法がないか探してみてはいかがでしょうか。
1.牧師役が友人
進行役は司会者でなくてもいいので、友人に依頼してみてはいかがでしょうか。牧師の格好をしてもらったり、神様っぽく登場してもらうなどやり方は無限大です。
2.誓いの言葉があいうえお作文になっている
名前で作るあいうえお作文が人気ですが、あえて「かかあてんか」などの文字で誓いの言葉を作ってみても面白いでしょう。お二人の好きなものなどで作っても楽しいです。
人前式のときに注意すべきポイント
人前式で挙式を行う際は以下のポイントに注意して準備してみてください。
会場選びのポイント
人前式では選択肢が多いため、結婚式の軸が決まっていないと迷ってしまいます。挙式では何がしたいか、何を大切にしたいか決めてから会場を探しましょう。
▼おすすめの会場タイプ
結婚式の雰囲気 | おすすめの結婚式場 |
わいわいカジュアルに楽しみたい | レストランでの宴内人前式 |
開放的なロケーションで挙式を行いたい | ガーデンウエディング |
チャペルでの挙式に憧れがある | 十字架が外せるチャペル |
プライベートで等身大な挙式にしたい | ゲストハウス |
和婚がしたい | 和装人前式ができる結婚式場 |
お披露目に力を入れたい | 迎賓館 |
おもてなしに力を入れたい | ホテルウエディング |
身近な人とだけこぢんまりと結婚式をしたい | 挙式と会食のみのプランがある結婚式場 |
イメージする結婚式に合わせて結婚式場を選んでみてください。
セレモニーの内容を詰め込みすぎない
挙式の進行が決まっていないため好きに盛り込むことが可能ですが、詰め込みすぎないように注意してください。やりすぎると時間を圧迫しますし、駆け足な挙式になってしまいます。
ゲストから見ても慌ただしい挙式だったという印象になってしまうので、大事にしたいポイントに絞って演出を組みましょう。
まとめ:魅力たっぷりな人前式で結婚式をあげよう
人前式について解説しました。挙式スタイルを決定する参考になれば幸いです。
人前式はその自由さとゲストとの距離の近さが特徴なので、特にアットホームな結婚式にしたい新郎新婦様におすすめします。オリジナルな結婚式で、お二人らしい1日を過ごしてください。
理想通りの結婚式が叶うように祈っています。