自分たちらしいアットホームな結婚式ができると、多くの新郎新婦様に人気がある人前式。手作りの結婚式を考えている新郎新婦様の中には、披露宴とは違い友人に進行役をお願いする方もいらっしゃいます。
「司会を任されたけどどうしたらいいのか分からない」
「スムーズに挙式を進められるか不安」
「台本を用意して完璧な結婚式にしたい」
いざ任されてみると上記のような悩みが出てくるのではないでしょうか。本記事では元ウエディングプランナーが人前式の司会台本や進行内容についてまとめています。
また、司会者には式の最中に起こるトラブルへの対応も必要です。何かあった時に司会者がどう動くべきかについても解説しているので、参考にしてみてください。
一生に一度の結婚式が成功するかどうかは、司会者の腕にかかっています。完璧な台本を用意して、当日はスムーズに挙式を進行しましょう。
人前式の司会は友人でも務まるの?
人前式の司会はプロに依頼するのが一般的ですが、友人にお願いする方も少なくありません。格式ばった式が苦手、楽しい式にしたいなど、友人に司会をお願いする理由はさまざまです。
台本を用意し進行を務めることはできますが、司会者の役割は挙式の進行だけではありませんのでトラブルは免れないでしょう。
ただ、そこも含めて和やかな挙式にしたいと考える新郎新婦が大多数なので、司会が友人でも大丈夫です。
友人司会の時に意識するポイント
司会者を頼まれたときは以下のポイントに注意すると、プロ司会者のように進行ができます。
- セリフを嚙まないようにする
- 忌み言葉を使用しない
- ゆっくりはっきりと話す
- 間を上手に使う
- ゲストの誘導を意識する
- 時間にシビアに進行する
- 予期せぬトラブルにも対処できるようにしておく
結婚式での言葉遣いで重要なのは、忌み言葉と繰り返し言葉を使わないことです。カジュアルな雰囲気であれば気にしない方も多いかもしれませんが、人によって受け取り方は異なります。
祝い事での言葉遣いは、守っておく方が無難です。親しき中にも礼儀ありで、丁寧な言葉遣いをした方が、セレモニーとしての威厳も感じられます。
また司会者は、台本通りにセリフを読んでいけばいいだけではありません。新郎新婦やゲストが、スムーズに人前式を進められるように、牽引していくのも司会者の役割です。
和気あいあいとした挙式を新郎新婦が希望していても、入場のセリフや結婚成立宣言などは堂々としゃべることでメリハリが付きます。大げさなくらい抑揚をつけて、ゲストのテンションを高めましょう。
司会台本を作成する前に確認すること
司会の台本を作成する前に、どんな雰囲気の結婚式にしたいのか、コンセプトを共有しておきましょう。新郎新婦には目指したい結婚式の雰囲気があるはずです。理想の雰囲気や目上の人が多いのか友人が多いのかなど、招待するゲストの顔ぶれも考えて、台本を作ってください。
人前式を希望する新郎新婦には、堅苦しいのが苦手という方も多いです。温かい結婚式にしたい、楽しく盛り上がりたいという希望があるはずなので、盛り上がる挙式を意識してみてください。
人前式の流れとそのまま真似できる司会台本
人前式の一般的な流れは以下です。人前式の場合、新郎新婦オリジナルの進行内容になっている場合もあるので、プログラムはよく確認してください。本項目では人前式の基本的な流れに沿って、各プログラムごとの台本例を紹介していきます。
入場前(自己紹介)
列席者は先に席について、新郎新婦が入場するのを待っています。入場前には、これから結婚式が始まることと、人前式についての説明を行っておきましょう。
その後に、司会を務めるのは誰なのかを名乗り、列席者に挨拶をしておきます。
本日はご多用の中、また遠方より、
新郎〇〇さんと新婦〇〇さんの結婚式にご列席いただき、
誠にありがとうございます。
これより始めさせていただきます結婚式は、
ご列席の皆様に向かって、
新郎新婦のおふたりが結婚の誓いを立て、
皆様から承認をいただく人前式となっております。
人前式はひとまえしきと書きます。
(新郎)さんと(新婦)さんにとって大切な皆様に対し、
ふたりの愛を誓い、これからも見守っていただきたいという思いから、
おふたりは人前式というスタイルをお選びになられました。
(新郎)さんと(新婦)さんの新たな門出を、
祝福の気持ちで皆様に見届けていただければと思います。
そして、私は、本日司会を務めさせていただきます、
(新郎)さんの友人の〇〇と申します。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
新郎新婦の入場
ゲストが着席し、新郎新婦の準備が整ったら、ふたりの入場になります。
人前式の入場スタイルは、新郎新婦が一緒に入場するパターンと、教会式のように新郎が先に入場し、続いて新婦が父親と入場するパターンが多いです。
これより新郎新婦様のご入場となります。
皆様、後方の扉にご注目ください。
新郎新婦のご入場です。
どうぞ盛大な拍手でお迎えください。
これより新郎新婦様のご入場となります。
皆様、後方の扉にご注目ください。
新郎〇〇さんのご入場です。
どうぞ盛大な拍手でお迎えください。
続きまして、新婦〇〇さんをお迎えいたします。
新婦〇〇さんとお父様のご入場です。
どうぞ盛大な拍手でお迎えください。
入場の時は拍手で迎えるのが一般的ですが、リボンを振ったり鈴を鳴らしたりするリボンワンズで迎える演出もあります。また、新婦が父と歩く前に、新婦の母からのベールダウンを取り入れる入場スタイルも人気です。
それぞれの演出に沿って、台本をアレンジしましょう。
開式宣言
新郎新婦が、ゲストと向かい合う形で所定の位置についたら、人前式の開式宣言をします。
これより新郎〇〇さん、新婦〇〇さんの人前結婚式を執り行います。
ご列席の皆様には、おふたりの結婚の立会人となっていただけますよう、
よろしくお願いいたします。(新郎新婦がゲストに向かって一礼する)
この時、司会者は新郎新婦が位置についたらすぐに始めるのではなく、少し間を入れるようにしましょう。間を取ることで、新郎新婦だけでなく、司会者も落ち着いて始めることができますよ。
誓いの言葉
誓いの言葉には、問いかけに対して答えるパターンや、ふたりで読み上げるパターンなどがあります。人前式のメインパートなので、気合を入れて進行しましょう。
(司会者)
まず初めに、おふたりから結婚の誓約宣言をしていただきます。
(司会者)
新郎〇〇さんに伺います。
あなたは(新婦)さんを生涯の妻とし、
どんな時も寄り添い続けることを誓いますか?
(新郎)
はい、誓います。
(司会者)
新婦〇〇さんに伺います。
あなたは(新郎)さんを生涯の夫とし、
どんな時も支え続けることを誓いますか?
(新婦)はい、誓います。
(司会者)
おふたりに伺います。
これから先、どんなことがあっても、
ふたりで力を合わせ、幸せな家庭を築いていくことを誓いますか?
(新郎新婦)
はい、誓います。
(司会者)
本日、おふたりは皆様に見守られ、
夫婦となる誓いを交わしました。
おふたりに盛大な拍手をお送りください。
まず初めに、新郎新婦様の結婚誓約宣言です。
おふたりは今日この日を迎えるにあたり、
ご自身の言葉で誓いを立てられました。
れではおふたりから、誓いの言葉を述べていただきます。
(新郎)さん、(新婦)さん、お願いいたします。
(ふたりが誓いの言葉を読み上げる)
ありがとうございます。
おふたりは、皆様に見守られる中、結婚の誓いを立てられました。
夫婦となったおふたりに、盛大な拍手をお願いいたします。
問いかけは、家族からやゲストからなど、いろいろなパターンがあります。シチュエーションによって、内容を変えたり言葉遣いをカジュアルにしたりと、手を加えるとよいでしょう。
問いかけの言葉については以下の記事もご参照ください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6758/
指輪交換
指輪を交換する時は、緊張のため指輪を落としそうになったり、なかなか指に嵌らなかったりと、ハプニングがおきがちです。
司会者もお二人が慌てないよう、ゆっくり落ち着いて進める必要があります。ひとつひとつの動作についても、慌てさせないようしっかり間を取りながら進めましょう。
続いて、新郎新婦様に、指輪を交換していただきます。
おふたりの結婚指輪を運ばれるのは、新郎の甥の〇〇くんです。
(リングボーイがふたりの元まで指輪を運び、新郎に渡す)
〇〇くん、ありがとうございました。
(新郎)さん、(新婦)さん、向き合ってお立ちください。
(新郎)さん、(新婦)さんの指輪をお取りください。
(新婦)さんへ指輪をお送りください。
(新婦)さん、(新郎)さんの指輪をお取りください。
(新郎)さんへ指輪をお送りください。
(新郎)さん(新婦)さん、ご列席の皆様に、
指輪の披露をお願いいたします。
皆様、おふたりに盛大な拍手をお送りください。
指輪の交換では、おふたりの指輪を運んでくるリングボーイも演出のひとつです。ほかにも、リングリレーやリングワーミングなど、列席者が参加できる演出もあります。
リングがふたりの元に届くまでの時間は、指輪選びのエピソードなどを交えると、式場が静まり返ることがなく、進行もしやすいでしょう。
誓いのキス
指輪の交換や誓いのキスは、ゲストもこぞって写真を撮るなど、式の中でも盛り上がるところです。キスの瞬間はしばらく間をおいて、ゲストがしっかり写真を撮れるように配慮するといいでしょう。
続きまして、ベールアップと誓いのキスを行っていただきます。
(新郎)さん(新婦)さん、向き合ってください。
(新郎)さんには(新婦)さんのウェディングベールを上げていただき、
永遠の愛を込めて、誓いのキスを交わしていただきましょう。
キスが恥ずかしい新郎新婦は、抱きしめ合う「誓いのハグ」や手の平を合わせる「手合わせの儀」など選ぶこともあります。キス以外の演出を取り入れる時は、その演出に合わせてセリフを変更しましょう。
結婚証明書へ署名
結婚証明書への署名は、まず新郎新婦が署名し、新郎側新婦側それぞれから1名ずつ立会人を呼び、署名してもらうのが一般的な流れです。
続きまして、結婚証明書への署名を行っていただきます。
まずは、(新郎)さん、ご署名をお願いいたします。
続いて、(新婦)さん、ご署名をお願いいたします。
ここで立会人代表として、
おふたりの結婚証明書にご署名いただくお二方をお呼び致します。
(新郎側立会人)さん、(新婦側立会人)さん、どうぞ署名台までお越しください。
今回、立会人代表としておふたりのご友人をご指名させていただきました。
まずは、(新郎)さんの立会人代表である〇〇様、
ご署名をお願いいたします。
続きまして、(新婦)さんの立会人代表である〇〇様、
ご署名をお願いいたします。
(署名後に)ありがとうございました。
では、(新郎)さん(新婦)さん、
立会人のお二方とともに、結婚証明書をご披露いただきましょう。
結婚証明書ではなく、婚姻届に署名するパターンもあります。ほかにも、ウェディングツリーへのサインなど、証明書のかたちはさまざまです。
また、証人欄へのサインを、サプライズでゲストにお願いすることも。結婚証明書は、新郎新婦のオリジナリティが出せるところでもあるので、それによって台本もアレンジしましょう。
承認
人前式のすべてのセレモニーの結びに、列席者から結婚の承認をもらいます。
今、おふたりは皆様の前で、真実の愛を誓われました。
改めて、ご列席の皆様に伺います。
新郎)さん(新婦)さんの結婚を、承認していただけますか?
ご賛同いただける方は、おふたりに承認の拍手をお願いいたします。
承認の仕方は、拍手以外にも鈴を鳴らすなどのアレンジもあります。演出に合わせて、台本を作りましょう。
結婚成立宣言
結婚成立宣言は、司会者から宣言を発することで、人前式が滞りなく終わったことを示します。
皆様からの温かい拍手によって承認を得て、
ここに(新郎)さんと(新婦)さんの結婚が成立いたしました。
(新郎)さん(新婦)さん、ご結婚おめでとうございます!
皆さま、今一度おふたりに盛大な拍手をお願いいたします。
閉式宣言
すべてのセレモニーが終わったら、人前式の閉式宣言を行ないます。
閉式の後は、新郎新婦の退場です。退場時にフラワーシャワーなどのセレモニーを取り入れる場合は、列席者側の準備が必要になるので、司会者からどうしたらいいか説明を入れましょう。
ただいまを持ちまして、
新郎(名前)さん、新婦(名前)さんの結婚式の結びとさせていただきます。
(新郎)さん、(新婦)さん、本日は誠におめでとうございます。
これより、おふたりにはウェディングロードをお進みいただき、
ご退場いただきます。皆様、ご起立ください。
ご列席の皆様には、フラワーシャワーにておふたりを祝福していただきます。
フラワーシャワーをお手に取り、ご準備をお願いいたします。
退場
人前式のお開きとともに、ふたりの退場となります。退場時は、列席者に起立してもらい、拍手で見送るのが一般的です。
新郎新婦様の退場となります。
本日一番の盛大な拍手で、おふたりをお見送りください。
(新郎)さん(新婦)さん、本日は誠におめでとうございます!
ほかにも、フラワーシャワーやリボンワンズなど、オリジナルの演出で退場シーンを盛り上げるのも素敵です。その場合は、拍手をそれぞれの演出に置き換えて、台本を作ってください。
閉式までは落ち着いて式を進めることが重要でしたが、退場時はめいっぱいの祝福の気持ちを表すために、列席者を盛り上げる必要があります。
司会者の声で列席者の気持ちも上がるので、拍手を促したりお祝いの言葉を述べたりするときは、大きな声で盛り上げ役をしてもらいましょう。
退場後
退場後に行う演出を、アフターセレモニーと言います。
フラワーシャワーを退場後に改めて行うケースも多く、ほかにもバルーンリリースやシャボン玉シャワーなど、いろいろな演出があります。
ここでは、アフターセレモニーの中でも代表的な、フラワーシャワーとバルーンリリースを行う時の台本を、紹介しましょう。
屋外のガーデンにて、フラワーシャワーを行ないます。
皆様、今から花びらをお配りしますので、お手に取りお並びください。
お手元に花びらは行き渡ったでしょうか。
おふたりが登場しましたら、
祝福の気持ちを込めてフラワーシャワーでお迎えください。
それでは、新郎新婦様のご登場です。
この後、ガーデンにてバルーンリリースを行ないます。
ご列席の皆様には、今からバルーンをお配りしますので、
受け取ったらしばらくお待ちください。
大変お待たせいたしました。
皆様、バルーンを受け取られましたでしょうか。
私の「いち、にの、さん、おめでとうございます!」の掛け声に合わせて、
バルーンを空にリリースしてください。
それでは、行きますよ!
いち、にの、さん、おめでとうございます!
(おめでとうの声とともに、一斉にバルーンをリリース)
おふたりの幸せがどこまでも届きますように、
皆様の願いと今日の日の喜びをのせて、
色とりどりのバルーンが青空に放たれました。
(新郎)さん(新婦)さん、おめでとうございます!
アフターセレモニーでは、かしこまる必要はありません。新郎新婦や列席者も式が終わって、リラックスしていることでしょう。
みんなが楽しめるように元気よく声を上げつつ、列席者が進行に迷わないよう司会を進めるのがポイントです。
いざという時の対応方法
司会者には突然のトラブルにも対応してもらう必要があります。何事も、計画通りに行なえるとは限りません。
人前式の最中に、何かしらのトラブルやハプニングが起こることもありえます。それが式の進行に関わることであれば、司会者が対処した方がいい場面も多いです。
トラブルの問い合わせ先は?
トラブルが起こった時に、誰に相談したらいいか、問い合わせ先を明確にしておきましょう。
式中に何かあっても新郎新婦では対処できないため、問い合わせ先はウェディングプランナーや会場のリーダーになります。トラブル時にスムーズに対処してもらえるよう、司会者とプランナーや会場のリーダーの顔合わせを行っておくことが大切です。
起こりうるハプニングを想定しておく
起こりうるハプニングを想定し、対策を考えておくことも大切です。式の進行を最初から最後まで何度も見直し、どんなハプニングが起こりそうかリストアップしましょう。
新郎新婦と司会者との間で共有し、念入りにシミュレーションを行なうことも大事です。事前に対策を練っておけば、当日は慌てずに対処することができますよ。
アドリブを入れてもいいか?
アドリブを入れてもスムーズに式が執り行えるかは、司会の力量や雰囲気によります。人前でしゃべることに慣れているなら、お二人も安心してお任せできるでしょう。
厳かな雰囲気ならアドリブは控える、楽しく行ないたいならアドリブOKなど、事前に確認が取れると安心です。
まとめ:人前式の司会は台本で乗り切ろう
人前式の時の台本を紹介しました。牧師や神職者がいるキリスト式や神前式とは異なり、人前式では司会者が式の進行役となります。
基本的にはプロの司会者が進行役を務めますが、アットホームな式にしたい、みんなで楽しい式にしたいと、友人に司会を頼む新郎新婦も少なくありません。
しかし、司会に慣れていないと、言い間違いやタイミングがズレたりと、ミスをする可能性も大きいです。また、予期せぬトラブルやハプニングなどが起きないとも限りません。
友人が人前式の司会務める時は完璧な台本だけでなく、トラブル時の対処法も確認して、スムーズに人前式が行えるよう万全な準備をしましょう。
本記事を参考に、依頼してよかったと思われる司会を務めあげてください。