袱紗(ふくさ)は、結婚式などへの参列経験が少ない方にとっては、あまり馴染みのないものでしょう。
若い頃は親や兄弟に借りていたけど一人暮らしをしてから持っていない、などといった場合もあるかもしれません。
日常的に使うものではないので、なかなか買うタイミングがないかと思いますが、結婚式などの場合には大人のマナーとして一つ持っておくのがおすすめです。
「袱紗ってなに?」
「どうやって使うの?」
「用意が間に合わないときはどうすればいい?」
本記事では上記のような悩みを元ウエディングプランナーが解消していきます。
袱紗についての基本知識から購入時に気をつけたいポイントまで、ルールを詳しく解説するので参考にしてみてください。
袱紗の持つ役割
ご祝儀を用意する段階まで、袱紗という言葉自体を知らなかったという方もいるのではないでしょうか。
ただ、結婚式に招待された場合などには欠かせないもので、一つは用意しておきたいものでもあります。
そもそも袱紗とはどのようなもので、どのような役割を担っているのでしょうか。
購入するにあたって袱紗に関する基本知識も身に着けておきましょう。
金封袱紗とは何か
袱紗とは金封を包むための四角い布のことをいいます。
結婚式ではご祝儀を、お葬式では御香典を包むために使われるのが一般的です。
金封のしわや汚れを防ぎ、美しい状態で持ち運びを行うために使われます。
そのままバッグやポケットに入れると後悔しますので、必ず袱紗か代用品を用意してください。
少し水引きが壊れたくらいなら、なんとかなるかもしれませんが、大きく凹んだり折れたりすると最悪の場合、買い直しです。
急ぐ時ほど袱紗を用意しましょう。
結婚式での役割
持ち運びの間ご祝儀を守り、渡す相手への礼儀を尽くすために役立ちます。
また、袱紗で金封を包むことにはお祝いの気持ちを共有するという意味合いもあり、結婚式にぴったりです。
袱紗が持つ役割をしっかり理解したうえで準備を進めることが、新郎新婦への祝福にも繋がります。
また、受付係の人にもしっかりしたゲストだという印象を持ってもらえるでしょう。
受付が終了する間際に駆け込んだゲストがしわしわの黒いハンカチで包んだご祝儀袋を取り出すと、一瞬で空気が変わります。
遅刻ギリギリの上にマナーもなっていないゲストにはなりたくないですよね。
結婚式用の袱紗でご祝儀袋を用意することは余裕の象徴でもあります。
時間にゆとりをもって袱紗からご祝儀袋を取り出しましょう。
袱紗がないとどうなるか
結婚式で使われるご祝儀袋には、水引という飾りがついているのが一般的です。
水引は細い紐を使用して作られた繊細なものが多く、そのままバッグに入れてしまうと、壊れたり潰れたりします。
ご祝儀袋はほとんどが紙製のため折り目や汚れに弱く、衝撃から守ってくれるものが必要です。
こういった理由で、金封には袱紗を用意しましょう。
結婚式ではもちろんきれいな状態のご祝儀袋を用意するのがマナーなので、袱紗でご祝儀袋を守ってください。
購入時のポイント
袱紗は結婚式の場だけで使われるものではありません。
お葬式などの弔事の場でも使われ、色によっては弔事用もあるので注意が必要です。
自分がどのようなものを買うべきなのかを購入前に確認しておき、自分に合った袱紗のデザインを選びましょう。
百貨店などではおすすめを紹介してもらえますので、一度足を運んでみるのもおすすめです。
4つのタイプとおすすめの袱紗
袱紗には4つのタイプがあり、それぞれにメリットデメリットが存在します。
自分にとって使いやすいのはどのようなタイプなのか、実際に使う時のことをしっかりイメージしながら選ぶのがポイントです。
自分にとっての使いやすさや、ご祝儀を渡した後の収納についても考慮して袱紗を選びましょう。
1.正統派の風呂敷(包むタイプ)
正統派の袱紗とは、風呂敷のような見た目のシンプルな布のことを指します。
使用時以外は小さく折りたたむことができるため、収納に困る心配がありません。
スーツの内ポケットにも問題なく入れることができます。
どんなサイズのご祝儀袋にも柔軟に対応可能なので、長く使える袱紗でしょう。
ただし、慣れていない方にとっては包み方などの扱いが難しい場合もあります。
2.爪付き(包むタイプ)
正統派の袱紗に、勝手に開いてしまうことを防止する爪がついたタイプです。
布だけのものとは違い、バッグの中などで包みが解けてしまう心配が少なくてすみます。
包みを開きたいときにすぐ開けるよう、開閉方法はしっかり確認しておくのがいいでしょう。
こちらのタイプも渡した後の収納に困りません。
個人的におすすめの袱紗です。
3.台付き(包むタイプ)
金封を乗せる台が付いたタイプの袱紗です。
台にセットするだけでしっかりと金封を守ってくれるので、ちょっとした衝撃などがあっても型くずれの不安がありません。
慶弔両用として作られているケースが多いので、さまざまなシーンに使えるものをお探しの方におすすめです。
ただ、台座がある分かさばるので荷物を減らしたいかたには不向きの袱紗と言えます。
4.ケースタイプ(挟むタイプ)
袱紗が長財布やクラッチバッグのような、ケースの形になっているタイプです。
開け閉めが楽で、手先が器用な人でなくてもスムーズに出し入れできます。
受付での受け渡しも楽で、最初の袱紗としてもおすすめです。
実際、結婚式で若いゲストの方はほとんどがケースタイプで参加されます。
ただし、折りたたむことができないため、他のものに比べて収納スペースが必要です。
受付後どこにしまえそうかは確認しておいてください。
クロークに荷物を預けた後に受付を通る場合、袱紗はサブバッグに入れるか、またクロークに預け直すことになります。
また、ご祝儀袋の大きさによっては、ケースに入らない可能性もあるので注意しましょう。
袱紗の色:明るい色を選ぶ
結婚式では、お祝いの席にふさわしい明るい色味の袱紗を選んでください。
結婚式など慶事用に相応しい色としては、以下のような色味が挙げられます。
- 赤色
- オレンジ色
- 黄色
- 白色
- ベージュ
- ピンク色
暖色系を選んでおけば間違いありません。
華やかで明るい雰囲気のものが結婚式に相応しいです。
▼慶事用と弔事用のカラーを間違えないように
濃紺、グレーなどの色味は男性やシックなカラーを好む人が選びがちですが、弔事用とされているので注意する必要があります。
他に弔事用とされる袱紗の色味としては以下を参考にしてください。
- 黒色
- 茶色
- 深緑色
- 藍色
どれもスーツに似合いそうな色ですが、結婚式では華やかな場に相応しいデザインを選びましょう。
寒色系を選びたいときは周りの、特に年上のゲストがどう受け止めるかをよく考えてください。
受付係は大抵の場合、友人や同僚が務めますが必ずそうとも限りません。
少人数婚の場合などは親族が務める可能性もあります。
色に関しての認識もゆるやかになってきてはいますが、気を付けて損はないでしょう。
▼お葬式にも使える慶弔両用カラーとは
濃い紫は慶事にも弔事にも使えるため、どちらにも使えるものを用意したい方におすすめです。
最近はやりのくすみカラーやパステルカラー調の結婚式だと少し目立ちますが、袱紗を出すのは一瞬で済みます。
結婚式のマナー的にも問題ないので堂々と使いましょう。
ただし薄紫は明るい色の判定となり、結婚式用とみなされるので注意してください。
袱紗の柄:無地が好ましい
基本的には無地のデザインを選んでください。
柄入りがNGというわけではないので、柄物を選びたい場合は、結婚式の場に似合う縁起の良い柄がいいでしょう。
鶴や亀、鳳凰、松、梅などがお祝いごとに適した柄です。
ネイビーなどの色味で柄が吉祥柄のものも売られていますが、友人向けに留めておくことをおすすめします。
また、リボンやレース刺繍が付いた華やかで可愛い袱紗も女性に人気です。
場が華やぐので新郎新婦にも喜ばれるでしょう。
袱紗が買える場所
袱紗はたいていの場合ご祝儀袋の近くに売っています。
どこで買うか迷っている方は、併せての購入も検討してみてください。
- 百貨店
- 雑貨店
- ネット販売
- 本屋
- 100均
ご祝儀袋に比べて売っているところをなかなか見かけないので、ネットで買ってしまうのもおすすめです。
結婚式に参列する機会も減ってきた家族・親族から譲ってもらうのもよいでしょう。
また、価格を抑えたい方は百均で探してみるというのも手です。
取り扱いは少ないようですが、都内の100均で慶弔両用の袱紗が販売されているのを見かけました。
ご祝儀袋を百均で用意してもいいのか、マナー面が気になる方は以下の記事を参照してみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6948/
また、コンビニで売っていることはほとんどありません。
結婚式場の近くなら、もしかしたらあるかもしれないというレベルです。
袱紗の使い方
袱紗は金封の包み方や開き方に決まりがあります。
マナー違反を防ぐためにも、しっかり確認しておくことが大切です。
扱いに慣れていない場合は、結婚式に参列する前に何度か練習しておくのがいいでしょう。
ご祝儀袋の包み方
ケースタイプ以外の袱紗の包み方は、爪のあるなし・台のあるなしに関係なく全て同じです。
一度覚えてしまえば長く使えるので、しっかり折り方を確認しておきましょう。
- 袱紗の角が上下左右にくるように開く
- 表向きの状態で金封を袱紗の真ん中よりやや左側になるように置く
(台付きの場合は台に留める) - 左→上→下の順番に角を折りたたみ金封を包む
- 最後に右の角を折りたたむ
- 右側の角のあまった布をくるっと反対側まで包み込んだら完成
(爪付きの場合は爪を留め具に留める)
ケースタイプの袱紗には、右開きになるようにご祝儀袋を入れます。
結婚式の場合は下の折り返しが上になり、右の角でご祝儀袋を包むのが特徴です。
ご祝儀袋の書き方など用意方法については以下の記事を参考にしてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6540/
受付での開き方
袱紗の開き方にも作法があり、間違えるとまごついたり後から人に指摘されます。
頭ではわかっていても実践してみると意外と難しいなんてことも。
受付でまごついてしまうことがないよう、実際に何度か練習しておくのがおすすめです。
▼ケースタイプ以外の袱紗
- 右開きになるように袱紗を持つ
- 右側→下側の順に開いて裏側に折り返し、折り返した部分を手でしっかりおさえる
- 開いている下側からご祝儀袋を引き抜く
- 軽く形を整えて袱紗をご祝儀袋の台代わりに使う
- ご祝儀袋のみ180度時計回りに回転させて、相手に向けて正面になるようにして渡す
風呂敷タイプでも台付きタイプでも渡し方の作法は変わらないため、初めは台付きタイプの方が扱いやすいかもしれません。
逆向きにすると弔事用の包み方、開き方になってしまうので気を付けてください。
▼ケースタイプの袱紗
- 右開きになるように袱紗を持つ
- カバーを開く
- ご祝儀袋を取り出しカバーを閉じる
- 袱紗を台代わりにして上に金封を乗せる
- ご祝儀袋のみ180度時計回りに回転させて、相手の向けて正面になるようにして渡す
風呂敷タイプの袱紗のようにどこから開けばいいか、といった作法が簡略化されているので簡単に取り出せます。
ケースの素材がしっかりしているので、受け渡しの際の台座としても扱いやすいです。
袱紗がない場合の代用品
参列までに袱紗の準備が間に合わなかった場合には、手持ちのハンカチや風呂敷などの布を代用品として使用することも可能です。
ハンカチや風呂敷などの代用品を使用しても、入れ方や渡し方などの扱いは袱紗と変わりません。
柄や色味なども袱紗同様の選び方になるので、代用品とはいえど注意しながら選びましょう。
注意点
袱紗を持ってない場合に気をつけたいのは、間に合わせ感が出ていないかということです。
アイロンをしっかりかけたり、生地のしっかりした風呂敷を使用するなど、なるべく丁寧な印象を与えられるよう配慮しましょう。
マナーが守れていない人だと思われることがないよう、しっかり気を配りたいポイントです。
袱紗のマナーを知って正しく結婚式のお祝いをしよう
なかなか普段は手にする機会が少ない袱紗ですが、結婚式の予定があれば欠かせないアイテムの一つです。
扱い方など難しいと感じる人もいるかもしれませんが、一度身につけておけば今後も必ず役に立ちます。
結婚式は比較的マナーが重要視される場面なので、正しいマナーをしっかり知っておくことが大切です。
結婚式では袱紗は右開き、下の折り返しが上になるように包みます。
明るい色味で無地か吉祥柄のものを用意してください。
余裕を持った袱紗の扱いができるようしっかり練習しておけば、スムーズな受付での対応が叶いますよ。
袱紗を結婚式に持って行って、正しくご祝儀袋を新郎新婦に渡しましょう。