神前式といえば白無垢です。真っ白な衣裳に身を包んだ花嫁が厳かな挙式を行う様子に憧れを抱いている方は少なくないでしょう。
しかし着物に馴染みがある方は減っており、いざ白無垢を着てみようと思っても分からないことだらけではないでしょうか。
「白無垢の着こなし方が分からない」
「自分にぴったりな白無垢を見つけたい」
「神前式の結婚式を成功させたい」
そう考えるプレ花嫁の力になれれば幸いです。
本記事では元ウエディングプランナーが神前式と白無垢について解説します。本格的に神前式で考えている方もまだ迷っている方も参考にしてみてください。
白無垢とは何か
白無垢は教会式の結婚式でいうところのウエディングドレスです。白一色のみ身にまとった花嫁は、高潔で神聖な雰囲気を醸し出します。
白無垢(しろむく)という読み方からも穢れなき存在というオーラがにじみ出ている気がしますね。白無垢は着物の正礼装であり、位の高い着物です。
花嫁にしか着る機会はないですから、チャンスを逃さないようにしましょう。
日本の伝統的な花嫁衣裳
白無垢は色打掛、黒引き振袖と並ぶ、日本の伝統的な花嫁衣裳です。
白一色で統一された衣裳には嫁ぎ先に染まります、という意味が込められています。また、白は昔から神聖さを表すとされており、神の御前で縁を結ぶ神前式にぴったりです。
▼白無垢の魅力
白無垢の最大の魅力は、その美しさと格式高さです。
真っ白な生地が新婦の肌を上品に引き立て、厳かな雰囲気を創り出します。
白一色だからこそ浮かび上がる繊細な刺繍や織り柄はドレスにはない魅力でしょう。
白無垢が着れる挙式スタイル
神前式を中心に着られることが多い白無垢ですが、他にも人前式や仏前式といった挙式スタイルでも着用可能です。それぞれで雰囲気などが違うので、理想の挙式イメージに合わせて選んでみてください。
1.神前式
神前式は神社で行われる伝統的な日本の結婚式のスタイルで、白無垢を着用する最も一般的な挙式方法です。
白無垢と言えば神前式を思い浮かべるほど。
挙式は神殿にて厳かに行われ、花嫁行列といった和婚らしい演出も叶えることができます。
2.人前式
人前式は、親族や友人の前で永遠の愛を誓う形式の結婚式です。
宗教的な儀式に縛られないため、新郎新婦様の個性や希望に合わせたオリジナルセレモニーが特徴。
その中でも特に和装人前式は、伝統的な和装でありながら形式的な制約が少なく堅苦しいのが苦手な人にもおすすめです。
3.仏前式
仏前式は、お寺で行われる結婚式のスタイルで、仏教の教えに則った儀式が特徴です。
仏壇の前で誓いを立てることが一般的で、荘重な雰囲気の中で挙式をあげられます。
今世で出会えた縁に感謝する意味合いがあるので、縁を大切にしたい方におすすめです。
仏前式については以下の記事で詳しく解説しています。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6269/
白無垢を選ぶポイント
日本人であれば特に似合うかどうかの心配は要りません。白無垢をレンタルするときは以下のポイントを気にしながら、手に取ってみて気になったものを試着してみてください。
- 素材
- 織り方
- 吉祥柄
また、肌の色味や背の高さも参考にしながら選ぶと似合いやすいかもしれません。
肌が色白である | 色が純白に近いもの |
肌が黄みがかっている | クリーム色に近いもの |
背が低い | 柄が細かいもの、平面的なもの |
背が高い | 柄が大きなもの、立体的なもの |
1.素材
着物の素材は正絹(しょうけん)だけではありません。化繊(かせん)の着物も存在します。
▼正絹の特徴
- 全て絹でできている
- 高価
- 肌ざわりがよい
- 少し黄みがかっている
- 柔らかな風合い
- 肌に馴染む
▼化繊の特徴
- 化学繊維を使っている
- 安価
- 純白
- 張りと光沢が強い
白無垢は正絹でないと、と考える年代の方もいますが、最近の化繊の着物も見劣りしません。色合いや柄の出方など実際に試着して試すのがおすすめです。
また、交織(こうしょく)と呼ばれる正絹と化繊で織られた着物もあります。両方のいいとこ取りな着物で、見た目にも遜色ないくらいの出来です。
2.織り方
着物は素材だけでなく織り方によっても風合いが異なります。
- 緞子(どんす)
絹糸を使ったなめらかな仕上がり - 錦織(にしきおり)
立体的な仕上がり - 綸子(りんず)
生糸を使った滑らかで光沢のある仕上がり
質感に影響を及ぼす要素です。華やかさに重点を置きたい場合は錦織を選ぶなど、着用時の雰囲気で選ぶのがよいでしょう。
3.吉祥柄
白無垢は白一色の着物なので、貧相な着物でかわいそうだという勘違いも生まれたそうです。これは大きな間違いであり、反物は絹で豪華な模様が織り込まれているのが白無垢という着物になります。
模様は吉祥柄と呼ばれる縁起のよいもので、松竹梅や鶴などが人気です。一つ一つに込められた意味があるので、模様に注目しながら選ぶのも楽しいですよ。
白無垢が似合う人とは
白無垢が似合う人とは、日本人らしい顔立ちの方、肌が白い方です。ただ、重要なのは自分が白無垢を気に入っているかどうか。
自分自身が満足できる白無垢を選ぶことで、当日の気持ちも華やかになり、自信に満ちた笑顔が見られることでしょう。
▼白無垢が着れるのは何歳まで?
白無垢に年齢制限はありません。
振袖とは異なり、若い花嫁だけでなく大人の女性も着用できます。
大人になってからも、白無垢は十分に美しさを引き立たせてくれるでしょう。
神前式とは何か
神の御前で行われる挙式スタイルです。神社のみならず神殿を備えたホテルでも開催できます。
神社は設備が整っていないことも多いので、高齢者の参加者が多い場合などはホテルでの開催がおすすめです。
日本の伝統的な挙式スタイル
仏前式と並んで日本の伝統的な挙式スタイルとなっています。仏前式は巡り会いの縁に感謝する儀式で、神前式は家と家を結びつける儀式です。
日本らしい結婚式にしたい方にぴったりな挙式となっています。
神前式の流れについて
神前式であっても教会式と同じように所要時間は30分ほどです。2時間~3時間前にお支度入りし、披露宴も2時間半行う点も変わりません。
神前式について詳しくは以下の記事も参照してみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/5457/
白無垢以外の神前式で着れる衣裳とは
神前式で着れるのは白無垢だけではありません。色打掛、黒引き振袖でも大丈夫です。
また、会場によってはドレスでもOKなところもあります。神前式の厳かな空間で挙式がしたいけど、衣裳で迷っている方は自由度の高い会場を探してみるとよいでしょう。
白無垢以外にも選択肢はあるので、たくさん検討してぴったりな1着が見つかるといいですね。
▼色打掛
主に赤色の色打掛は生命力、生まれ変わりを意味しています。
白無垢から色打掛に着替えることで、嫁ぎ先で生まれ変わった・染まったことを表現可能です。
基本的に白色以外の打掛を色打掛と呼びます。
赤色が主力ですが、他のカラーも。
色打掛について解説している記事もあるので、参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6342/
▼黒引き振袖
袖を引きずって歩く振袖です。
打掛と違い帯を見せることができるため、すっきりとしたシルエットで着たい花嫁におすすめ。
黒引き振袖にはあなた以外の色に染まりませんという意味が込められています。
白無垢を着たときのお色直し
披露宴では白無垢から色打掛にお色直しをするのが定番ですが、そうしなければならないというルールがあるわけではありません。それが普通だと思っている世代があるかもしれませんが、主役は花嫁ですので、好きなようにしましょう。
ドレスに着替えてもいい
和装から洋装へのお色直しも人気です。どちらも憧れですから、片方だけしか着ないのはもったいないですよね。
この場合に注意したいのが会場の雰囲気です。和装にもドレスにも似合う雰囲気の会場かどうか、よくチェックしてください。最近はどの会場も和モダンな雰囲気ですが、少人数向けだと準和風なこともあります。
▼和装から洋装にお直しする場合はヘアメイクに注意
洋装へお直しする際にはヘアメイクにも気を配ってください。
和装に合わせたメイクだとドレスに負けることがあります。
ヘアスタイルは時短のためにも洋髪がよいでしょう。
和装にもドレスにも合うヘアメイクを意識することが大切です。
披露宴を長く楽しむために、工夫を凝らしましょう。
和装から和装にお色直しがおすすめ
和装から和装へお色直しするメリットは着替えが楽なことです。洋装へお色直しする場合、下着から全て変える必要があるため時間がかかります。
また、白無垢から色打掛へのお直しは打掛を変えるだけで済むので最も簡単です。挙式後、披露宴前に打掛を変えて登場することもできます。
それが一般的な時期もあったようですが、白無垢のまま披露宴に出ることはなんらおかしいことではないので、安心してください。
神前式の時のお色直しについては以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/4406/
白無垢のヘアメイクと小物について
和装というと日本髪や洋髪を思い浮かべるかと思いますが、結婚式でも同じようにヘアスタイルを選べます。かつらでも自然に見せるタイプもありますので、理想の髪型を諦めないでください。
和装に合わせる髪型
和婚で選べるヘアスタイルとして以下が挙げられます。
- 文金高島田(かつら)
- 文金高島田(半かつら)
- 新日本髪
- 洋髪
それぞれにメリット/デメリットがあるので、理想のスタイルと照らし合わせて選ぶのがよいでしょう。
▼文金高島田(かつら)
文金高島田は昔の着物姿の女性を思い浮かべた時にしている髪型です。
舞妓さんなどもしていますね。
完全に和装に合わせたヘアスタイルなので、ドレスには合いません。
▼文金高島田(半かつら)
半かつらは生え際のみ地毛で結うタイプのヘアスタイルです。
かつらの最大のデメリットである不自然さをなくすことができます。
髪の長さが必要なこと、ヘアチェンジが難しいことが難点です。
▼新日本髪
新日本髪は完全に地毛で結う髪型となっており、自然に着物とマッチさせることが可能です。
文金高島田ほどおおげさな雰囲気はありませんが、十分に日本髪を楽しむことができるでしょう。
▼洋髪
着物に合わせる時のようにアップへアが良く似合います。
ドレスに着替える場合も合わせやすいので、洋装へのお色直しを検討している場合は洋髪がおすすめ。
ヘア小物
和婚特有のヘア小物としてかんざしや綿帽子、角隠しが挙げられます。
綿帽子、角隠しには合わせられる着物、髪型に制限があることをご存知でしたでしょうか。頭飾りから着物を選ぶのもよいかもしれませんね。
合わせられる着物 | 合わせられる髪型 | |
綿帽子 | 白無垢のみ | 文金高島田、新日本髪、洋髪 |
角隠し | 白無垢、色打掛、黒引き振袖 | 文金高島田、新日本髪 |
▼綿帽子
綿帽子は、白無垢に合わせて使用される伝統的なヘア小物です。
婚礼当日まで新郎以外の人に顔を見せないという古い風習に基づき、挙式中のみ着用できます。
綿帽子キーパーというアイテムを使用することで、洋髪にも合わせることが可能です。
▼角隠し
角隠しは、和装の婚礼衣裳に合わせて使用される伝統的なヘア小物です。
これは角を隠して夫に従うという新婦の従順さを象徴しています。
文金高島田にしか合わせることができないので、ヘアアレンジを楽しみたい方には向いていません。
白無垢に合うメイクとは
白無垢が似合う人は薄目で鼻筋が通っている人だと言われています。西洋風の顔つきよりも日本人らしい方が似合うということです。
メイクの仕方でどうとでも合わせられる部分なので、リハーサルを行ってイメージをすり合わせておくことをおすすめします。
▼つや肌かマット肌か
そもそも和装には水化粧という白塗りメイクを合わせていました。
舞妓さんほど白くされるわけではありませんが、かなり白っぽくマットに仕上げます。
ただ、流行やドレスにも合わせるという理由で自然な色合いで艶もあるメイクも可能です。
洋装もする花嫁は多いので、メイキストに遠慮なく相談してください。
まとめ:白無垢で結婚式をあげよう
神前式と白無垢について解説しました。コーディネートや挙式についての不安が解消されていたら幸いです。
神前式で挙式をあげると、日本らしさと家族の繋がりが感じられる結婚式になります。年配者の中には神前式の方が馴染み深い方もいらっしゃるでしょう。
ぜひ家族の縁を結ぶ神前式も検討してみてください。理想の結婚式になるように祈っています。