結婚式ではモーニングコートを着ようとお考えのお父様や新郎様が多いのではないでしょうか。
ただモーニングコートはめったに着る機会のない衣装なので、着こなし方がよくわからない方もいるかもしれません。
「そもそもモーニングコートってどんな衣装?」
「他の衣装との違いを知りたい」
「モーニングコートを着るときの注意点は?」
本記事では、モーニングコートの特徴や着用マナー、コーディネートの仕方などを元ウエディングプランナーが徹底解説。
モーニングコートについての知識を深め、初めて着る衣装でも上手に着こなせると良いですね。
結婚式で男性が着る衣裳の種類
結婚式で男性が着る衣装についてご紹介します。
結婚式では、主催者は正礼装を着用してゲストをおもてなししましょう。
正礼装とはフォーマルな場で着用する最も格式の高い服装のこと。
洋装ではモーニングコートやフロックコート、燕尾服(場合によってはタキシード)が正礼装で、和装では紋付羽織袴が正礼装です。
まずは、それぞれの衣装の特徴についてご紹介しますので、参考にしてくださいね。
父親も新郎もスーツではなく正礼装で参加する
結婚式では主役である新郎様だけでなく、両家の代表としてお父様も正礼装を着用しなくてはいけません。
その昔、結婚は家と家の結びつきを宣言する儀式であり、家長である父親は主催者の中心でした。
時代とともに結婚はプライベートなものという価値観に変化してきましたが、父親が主催者側の立場であるのは変わりません。
主催者側であるお父様もスーツではなく、正礼装でゲストをお出迎えしましょう。
1.モーニングコート
モーニングコートとは、後ろ側の裾が長いジャケットに、縦縞のグレーのスラックスを合わせた衣装のこと。
昼の正礼装として、国際的な式典や政治家の内閣発足などフォーマルな場で着用されているのを見たことがあるかもしれません。
結婚式でのお父様の定番衣裳で、ウエディングドレスを着るようになった頃から、モーニングコートも主流になりました。
新郎様も花婿衣裳として、定番のモーニングコートとは異なる華やかなデザインのモーニングコートを着用することもあるでしょう。
▼カット・アウェイ・フロックコートとも呼ばれる意味
モーニングコートは、18世紀にイギリスの貴族が朝の日課である乗馬をする際に着用していた乗馬服が起源になっています。
乗馬服は元々はフロックコートと呼ばれる裾が膝丈まである長い着丈でした。
しかし馬に乗る際に長いコートの前裾が邪魔になり短くカットしたため、カット・アウェイ・フロックコートとも呼ばれるのです。
▼父親と新郎のモーニングコートの違い
結婚式でお父様が着るモーニングコートと、新郎様が着る婚礼衣装としてのモーニングコートの違いを説明します。
お父様が着るモーニングコートは、ドレスコードの基本に忠実で細かなルール通りのデザイン。
一方新郎様のモーニングコートは、ジャケットの裾は特徴的な形を保ちつつも、色やデザインが華やかになっています。
花婿用は上下共ホワイトやシルバーのモーニングコートなど、ドレスコートに定められたルールとは違う衣裳として発展しています。
▼2人ともモーニングコートでもいいのか
新郎様とお父様が共にモーニングコートを着用すると、衣裳が被ってしまうと心配になる方もいるかもしれません。
しかし、花婿用の衣装と父親用ではデザインが大きく異なるため、同じモーニングコートと言っても全くの別物です。
新郎様は主役のため華やかなデザインを選び、黒ジャケットにグレーストライブのスラックスという定番デザインは避けましょう。
2.タキシード
燕尾服の後ろの裾を短く簡略化して身動きしやすくしたもので、夜の時間帯の準礼装です。
ドレスコードでは「ブラックタイ」と呼ばれ、黒いジャケットにカマーバンド、黒い蝶ネクタイが基本スタイル。
近年では燕尾服よりもタキシードを着用する機会の方が多くなり、正礼装と位置づけられつつあります。
3.紋付き袴
和服の中で最も格式が高いのが、黒い紋付きの羽織袴です。
江戸時代に武士階級の人々が公式な儀式の場などで着用していたことに由来し、現在では成人式や結婚式などに着用します。
羽織の背中、左右の袖に2つ、そして胸元に2つの家紋がある五つ紋が最も格式の高いものとされています。
色は黒がフォーマルな場で着用される正式なものですが、新郎様は白や紺など黒以外の華やかな羽織袴を着ることもあるでしょう。
4.フロックコート
フロックコートは膝丈まである長いジャケットで、前身頃にボタンが6つほどあるダブルブレストが特徴的。
昼の正礼装で、モーニングコートの原型にもなった衣装です。
現在はモーニングコートが主流になり、着用機会は少なくなりました。
5.燕尾服
燕尾服は、ジャケットの後ろの裾が文字通りつばめの尻尾のような形をしているのが特徴。
夜の正礼装として最も格式が高く、宮中晩餐会など国際行事で着られています。
ドレスコードでは「ホワイト・タイ」と呼ばれ、白いベストと白い蝶ネクタイが基本です。
モーニングコートの基本マナーと着方
それぞれの衣装の特徴や着用場面が分かってきたところで、モーニングコートのより詳しい着こなしについて解説します。
ジャケットやパンツだけでなく、シャツやサスペンダーなど細かなアイテムについても基本的なルールがあります。
正礼装としてマナーを守って着用できるように、目を通してみてくださいね。
シャツ:ウイングカラーの白いシャツ
ジャケットの中に着るシャツは白のウイングカラーを合わせます。
ウイングカラーとは襟が立っているシャツで、首回りのサイズをぴったり合わせることが綺麗に着るための重要なポイント。
パンツ:縞模様のコールズボン
パンツは、コールズボンと呼ばれる黒とグレーのストライプ柄のものを合わせます。
モーニングコートやディレクタースーツに合わせる礼服用のズボンで、厚手の上質な生地で仕立てられています。
ウエスト部分がアジャスターになっていて、サイズを調整できるものが多いでしょう。
▼サスペンダーは必須
モーニングコートにはサスペンダーを合わせる決まりになっているので、ベルトは着用しません。
ベルトの使用を前提としていないので、モーニング用のズボンにはそもそもベルト通しがついていない場合も多いでしょう。
またレンタルで用意する衣裳は、サスペンダーで履く位置を微調整すると裾丈をジャストフィットさせることができます。
ベスト:黒色が基本
ベストはジャケットに合わせて黒を合わせるのが基本です。
ただしお祝い事の席では、グレーやシルバーなど明るい色のベストを合わせることもあります。
厳格な結婚式では基本に忠実な黒いベスト、カジュアルな式ではシルバーのベストと雰囲気によって選んでもよいかもしれません。
コート:ボタンは拝み合わせで
モーニングコートのボタンは、慶事と弔事で留め方が変わるので注意しましょう。
モーニングコートには通常のボタンに加え、内側にもう1つボタンがついていて、結婚式などの慶事では内側のボタンを留めます。
この留め方は、2つのボタンが拝んでいる手のように合わさることから「拝み合わせ」と呼ばれます。
衣裳小物について
モーニングコートに合わせる小物について解説します。
レンタル衣裳では小物一式もセットになっていますが、持ち方や着こなし方など細かなルールについても把握しておくと良いでしょう。
- 手袋
- カフス
- ポケットチーフ
- 靴・靴下
- ネクタイ
▼手袋
手袋は白い布制か革製のものを用意しましょう。
人前に立つ時は、左右の手袋を指先が見えるように揃えて右手で持ちます。
細かなルールですが、「今日は武器を持たず、争いごとをしない」という意味が込められているのです。
使用していない時はポケットに入れておくか、スタッフが預かってくれる場合が多いでしょう。
▼カフス
カフスはワイシャツの袖口を止める装飾品で、結婚式では白いパールや白蝶貝がふさわしいとされています。
ジャケットを羽織るとあまり目立たないため、省略する方もいます。
ただ結婚式では新婦様と腕を組む際に腕を曲げるので袖口から見えることも多く、細部まで気を配って着こなしましょう。
▼ポケットチーフ
ポケットチーフは白い無地のものであれば、どのような折り方でも構いません。
お祝いの席にふさわしいスリーピークスがおすすめです。
あらかじめ成形されたポケットチーフを利用すると簡単でしょう。
▼靴・靴下
靴は黒い革靴を合わせ、靴下は白と黒の縦縞かまたは黒い靴下を合わせます。
正式には内羽根式の紐靴で、甲に1本のラインが入っているストレートチップのデザインがフォーマルにふさわしい革靴です。
内羽根式とは紐を通す部分が甲と一体型になっているタイプのこと。
▼ネクタイ
結婚式でモーニングコートを着る際には、シルバーや白、黒とグレーのストライプ柄などを合わせます。
黒一色のネクタイは弔事を連想させ縁起が良くないため、合わせてはいけません。
衣裳選びのポイントとは
衣装を選ぶときに気をつけたいポイントについてご紹介します。
会場の格式や時間帯に合わせる
会場の格式や結婚式が行われる時間帯に合わせて衣裳を選ぶのは、ドレスコードの大切なポイントです。
新婦様の衣裳と合わせて考える
新婦側の父親は、新婦様の衣装とのバランスも含めて考えましょう。
新婦様の父親は、結婚式の新婦入場の際に一緒にバージンロードを歩くことが多いからです。
隣同士で並んだときに恥ずかしくないように、きっちりと着こなしたいですね。
新郎様の衣裳と合わせて考える
新郎様の衣装との兼ね合いについても、忘れてはいけません。
新郎様がモーニングコートを着用される場合には、衣裳が全く同じに被ってしまわないよう気を付けましょう。
お父様はドレスコードの基本を守る着こなしを、新郎様は華やかになる着こなしを心がければ大丈夫です。
格を合わせる
お父様がモーニングコートを着用する際にはお母様との衣装や、新郎側と新婦側のご両家で格を合わせるのが大切です。
結婚式の主催者側は正礼装を着るのが基本ですが、雰囲気によっては準礼装の場合もあるかもしれません。
しかし夫婦間や両家で格が違うと、足並みが揃っていない印象を与えてしまうでしょう。
お父様がモーニングを着る際にはお母様も正礼装で揃えたり、両家ともにモーニングコートを着るようにしてくださいね。
まとめ:正しくモーニングコートを結婚式で着用しよう
結婚式というフォーマルな場では、主催者側の男性はモーニングコートを着用することが多いでしょう。
新郎様やお父様は人前に立つ機会が多いので、普段とは違う装いでもしっかりとポイントを押さえて着こなしたいところ。
本記事では、男性が結婚式で着る衣裳についてご紹介し、特にモーニングコートを詳しく解説しています。
モーニングに合わせる小物や細かなルール、着こなし方のポイントまで押さえてあるので、隅々までご一読くださいね。