結婚式に招待されて思い浮かぶのは、新郎新婦様の幸せそうな顔にごちそう、そしてご祝儀はどう用意すればいいのかという悩みではないでしょうか。
本記事は元ウエディングプランナーが新郎新婦様からの目線も含めて、どのようにご祝儀袋を用意すればいいのかを紹介しています。書き方も入れ方も完璧にして結婚式に臨みましょう。
必要なものを揃えるところから、6ステップに分けて解説しているので参考になれば幸いです。新郎新婦様が喜ぶ顔を想像しながら準備していきましょう。
0.ご祝儀に必要なものを揃えよう
まずは必要なものを揃えてから準備に取り掛かりましょう。中にはすぐに用意することが難しいものもあるので早めの準備が大切です。
筆ペンなど必要なもの
ご祝儀の用意に必要なものは以下になります。
- 新札
- ご祝儀袋(中袋、短冊)
- 毛筆、筆ペン
- 袱紗
それぞれで用意の仕方にマナーなどもありますので、しっかり予習していきましょう。
いくら用意するのかについては以下の記事が参考になります。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/5524/
すぐには用意できないもの
上記リストの内、新札・袱紗は早めに用意しておきたいものです。意外と時間がなくて、用意がギリギリになってしまったということはよく起こります。
新札は郵便局や銀行で手に入りますが、平日に勤務している方だと交換が難しいからです。袱紗についてもデザインを選んでいたら時間がかかりすぎていたなんてこともあります。
結婚式に呼ばれたら楽しみになると思いますが、その気持ちのまま早めに準備も済ませてしまいましょう。
ご祝儀袋の書き方とマナー
いきなり書き始める前に、失礼のない書き方を理解しておきましょう。結婚式のご祝儀袋には筆記用具の中でも格式の高い毛筆を使うのがマナーで、「濃く」「太く」書くことが基本です。
細字のボールペンや万年筆は格式が低く事務的になることから、マナーを大切にする場ではあまり使いません。ご祝儀袋には濃い墨を用意し、薄墨を使わないよう注意しましょう。
また、書き間違えたり墨がにじんだりなど、書き損じた場合は新しいご祝儀袋を用意します。修正液や修正テープを使ったり、二重線で消したりなどの修正は、渡す相手に失礼だからです。
特に、毛筆や筆ペンなど、使い慣れていない筆記用具を使う時は書き損じやすいため、何度か練習してから書き始めましょう。
お祝いの名目や名前を書く短冊が何枚か入っているご祝儀袋は、書き損じても替えが効きます。書き間違えが心配な方におすすめです。
そして、渡した相手が読みやすいことが大前提です。毛筆だからと達筆に書く必要はありません。ご祝儀袋にお祝いの名目や名前を書くのは、誰から何の目的で贈られたかを相手に伝える意味もあります。
毛筆で書く時も楷書で丁寧に、誰が見ても読めるように書きましょう。
1.ご祝儀袋を選ぼう
ご祝儀の用意で一番楽しいのがご祝儀袋を選ぶことではないでしょうか。様々なデザインのものがあり、売り場はとても華やかです。
ご祝儀袋は言わばプレゼントの包装に当たります。種類が多い分どれにすればいいのか迷ってしまいますが、渡す相手に合わせて選んでみましょう。
選び方の基本
ご祝儀袋は金封ですから、結婚式用の他にも出産祝いや入学祝い用のものも売られています。必ず結婚式用のものを選んでください。
売り場で説明がなされているかとは思いますが、見分けるコツとして以下を留意しておくとよいでしょう。
- 水引きがあわじ結びまたは結び切りなど解けないもの
- 水引きが10本使われている
- のしが付いている
- 寿(壽)または御結婚御祝などと書かれている
また、豪華なご祝儀袋を選びたくもなりますが、中身の金額に合わせてご祝儀袋を選ぶのがマナーです。目安は中身の1/100の金額となります。
▼1万円程度の時の選び方(欠席時など)
ご祝儀袋の価格は100円が目安です。100均で買っても失礼には当たりません。水引・のしがついておらず印刷されているだけの簡易的なご祝儀袋でも大丈夫です。
▼3万円程度の時の選び方
シンプルなスタンダードのご祝儀袋で問題ありません。華美になりすぎると中身と釣り合わなくなってしまうので、難しいところです。
友人宛のご祝儀袋であれば、カジュアルなデザインのものを選んでも喜ばれます。色付きや柄付き、キャラクターものも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
▼5万円程度の時の選び方
5万円程度の額を包むときは、少し上質なものを選ぶようにしてください。水引のデザインが凝っていたり、和紙の紙質が良いなど少し良いものを選びます。
▼10万円以上の時の選び方
10万円以上となると高額になってくるので、ご祝儀袋もそれなりのものを用意してください。売り場で一番豪華なものを選べば間違いないでしょう。
周りのご祝儀袋より少し大きくて、水引が鶴や亀を象っている場合が多いです。
フォーマルな選び方
渡す相手が目上の人など、フォーマルに用意する必要がある場合はオーソドックスな白色のご祝儀袋を選びましょう。結婚式用とはっきり書かれたものが好ましいです。
洋風のご祝儀袋はカジュアル向き
渡す相手が友人など、親しい間柄であればご祝儀袋の選び方にも余裕ができます。アレンジされた水引のものや、名目が英字(Happy Wedding)のご祝儀袋でもマナー違反ではありません。
結婚式のコンセプトが知らされているのであれば、それに合わせて用意するのも喜ばれます。相手の喜ぶ顔を想像しながら選びましょう。
2.ご祝儀袋(表面)の書き方
ご祝儀袋が手に入ったら次は表書きが待っています。間違えると新郎新婦様が後から困ったり、マナーを知らないのかと残念に思われてしまう可能性が高いです。
筆書きに慣れていない方は、あらかじめ筆慣らししてから挑みましょう。
表書きの名目は「寿」「御結婚御祝」など
ご祝儀袋の中央上部に文字が入っていない場合、自分で記入する必要があります。最近のものはすでに印刷されている場合が多いです。
「寿」であれば無難ですし、文字数も少なく書きやすいでしょう。文字数が奇数になるように「御結婚御祝」でも大丈夫です。太く大きく濃く書いてください。
名前はフルネームで書く
ご祝儀袋の表面の中央下部に書くのは、贈り主であるご自身の名前になります。上部に書いた文字より少し小さめに書きましょう。
▼1人:個人名の場合
漢字でフルネームを書いてください。会社名と肩書を入れる場合などは、2行に分けて書いても大丈夫です。
▼2人:夫婦連名の場合
夫婦での出席など連名で出す場合は、名前を横並びで書きます。中央に代表者、その左隣にもう一人の名前を書いてください。
夫婦の場合は夫の名前を中央に、妻の下の名前をその左に書きます。
▼3人以上:家族で出す場合の子どもの名前は?
子どもも合わせて3名の場合は中央揃えで書きましょう。4名以上の場合は書ききれないため代表者の名前と、「他家族一同」と書きます。
別紙に家族の名前を書き記し、中袋に入れてください。別紙には中央上部に「寿」と書き、下部に全員分の名前を書きましょう。別紙は略式でも大丈夫なので、サインペンで書いたり毛筆フォントの印刷でも大丈夫です。
▼4人以上:家族以外の友人や団体から出す場合
家族の場合と同様に代表者名と「他一同」と書いてください。別紙に全員のフルネームを書き同封します。友人などの場合は五十音順に書くとトラブルが少ないです。
会社の部署などグループから出す場合は「総務部一同」というように書きます。名前は地位や年齢が高い順に書きましょう。
▼外国人名、外国語の社名の場合
縦書きの場合はアルファベットも縦に書くのが基本です。ただカタカナで書いても問題なければ、読みやすいカタカナに変換して書きましょう。
アルファベットで書く時も、一文字一文字を見やすく書くことを心掛けてください。
宛名を書く場合の書き方
新郎名や新婦名を記入する場合は、ご祝儀袋の左上にフルネームで書きます。宛名を書いた場合の差出人の書き方ですが、新郎新婦様の名前に近い方が格上になるので注意してください。
つまり左から右に向かって名前を書いていくということです。
3.中袋(中包み)の書き方をマスターしよう
ご祝儀袋の中にはさらにお金を包むために中袋や中包みが入っています。入れた金額や名前・住所を書く必要があるのでしっかり用意しましょう。
表側には漢数字で金額を書こう
表面の金額の書き方ですが、大字(旧字体)を用いて「金〇萬円」と書きます。10万円以上包む場合は「金〇萬円也」と書いてください。
新字体 | 旧字体 |
一 | 壱 |
三 | 参 |
五 | 伍 |
七 | 漆(七の方が使われる) |
八 | 捌(八の方が使われる) |
十 | 拾 |
千 | 仟 |
七と八に関しては新字体の方を使う傾向があり、必ずしも旧字体を使わなければならないということはありません。ただ、一や三は書き換えが容易であり見た目にもシンプルすぎるので旧字体を用いましょう。
中袋の住所の書き方
裏面には贈り主の名前と住所を書きます。左下に縦書きで書いてください。手紙などの差出人と同じような書き方で大丈夫です。
住所・名前があることで開封時に誰からいくら贈られたのかの管理ができます。内祝いを返す必要があった時に住所がないと二度手間になるので、住所までしっかり書きましょう。
縦書きの場合、数字は漢数字を使うのが基本です。
縦書きの漢数字のルールとして、2桁以上の場合は「十」や「百」を省略します。しかし、123(一二三)のように縦で並ぶと分かりにくい場合は、省略せずに書く方が見やすいです。
24の場合 | 245の場合 | 21の場合 |
二 四 |
二 四 五 |
二 十 一 |
基本は漢数字ですが、相手が見やすく書くことも大切なので、アラビア数字や隙間も上手く使うといいでしょう。
中袋の名前の書き方
中袋の裏面に名前を書く時の位置は、封筒の合わせ目より左のスペースです。
連名で書く時は、右から左にかけて順に書くのがマナーで、家族の場合は右に夫の名字と名前、左に妻の名前、その左に子どもの名前となります。
職場やグループの連名は、右から順に地位や年齢の高い方から書きますが、地位や年齢が同じ場合は、特に決まりはありません。
友人同士や同僚で差がなければ、五十音順が順番を決めやすいでしょう。
中袋の裏面に連名で書く場合は3人までとし、人数が多い時は別紙に記入したものを、紙幣と一緒に中袋の中に入れます。
別紙は、正式には毛筆で和紙(半紙や奉書紙)に書きますが、便箋にサインペンを用いた略式でも差し支えありません。
用紙の中央上部に「寿」や旧字の「壽」を書き、地位や年齢の高い方から、右から順に住所と名前を記入します。
別紙を用いる時の表書きと中袋には、代表者の名前を書き、その左側に「他一同」などと記入しましょう。もしくは、会社名に○○部一同という書き方でも構いません。
中袋にボールペンを使ってもいい?
ボールペンは、書き味が軽く事務的に見えてしまうため、ご祝儀袋に使うのはよくないとされています。
ただし、中袋の裏面に書く住所と氏名のみであれば、ボールペンを使っても差し支えありません。
最近では、住所と氏名を書く枠があらかじめ印字されている中袋もあり、毛筆や筆ペンでは枠内に書けないケースも多いです。
文字が潰れてしまうと分かりづらくなるので、細字の筆記用具で見やすく書く方がいいということでしょう。
濃く太くのマナーから外れないようにするには、濃い黒色で太めのボールペンを選ぶのがおすすめです。
インクは、水性インクを選びましょう。油性インクは粘りがあり、かすれることがあるため、文字が途切れて書き損じやすいからです。
4.失礼なくお金を包もう
いざ新札を包もうとして、正しい向きに迷ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。お札は肖像画のある方が表ですが、袋の表に合わせるのか裏から開けた想定で裏に合わせるのか迷ってしまいます。
またご祝儀袋に入れた後、後ろの折り返しはどちらが上だったか自信を持って答えられるでしょうか。本項目ではお金の入れ方と包み方を紹介します。
基本の入れ方
お札の表面と袋の表面を合わせて入れましょう。肖像画が表に来るように入れます。表に書いた金額と同じ額をしっかりと入れてください。
入れた後に糊付けは基本しません。例外は大金を入れてしっかり閉まらない場合くらいのものです。
ご祝儀袋への入れ方
ご祝儀袋はたとう折りをします。売られていた状態をそのまま再現すれば問題ありません。
裏面は下の折り返しが上に来るように折ります。これには「上を向く」や「幸せを受け止める」といった意味が込められているので間違えないように気を付けてください。
5.ご祝儀袋は袱紗に包もう
ご祝儀を問題なく用意できたところで、そのままカバンやポケットに入れてしまってはマナー違反です。何より汚れたり水引が壊れる原因になります。
金封を包む専用の袱紗を使用しましょう。袱紗の買い方については以下の記事を参考にしてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/7142/
水引が壊れない袱紗の選び方
袱紗は百貨店などで手に入ります。長く使えるものなので、いいものを購入してみてはいかがでしょうか。
袱紗は金封を包むものなので、弔事用のものもあります。間違えて弔事用のもので結婚式へ行かないように気をつけてください。
お祝いの場に相応しい華やかなものや明るい色合いのものを選びましょう。ちなみに高貴な紫色のものは慶弔両用です。
袱紗の代用品
万が一袱紗の用意が間に合わなかった場合は、ハンカチや風呂敷で代用することができます。シワをしっかり伸ばして、綺麗な状態のもので包んでいきましょう。
6-1.手渡しができなくなったときは
結婚式の欠席が急きょ決まった場合やそもそも結婚式を行わない場合など、新郎新婦様に手渡しができないパターンもあります。
会えなくなったからと用意しなくてよくなったわけではありません。基本は時間を作って手渡しすることが望ましいですが、郵送で贈るという手もあります。
急用が入ってしまった時は
結婚式を欠席せざるを得ない事情ができてしまった時は、早めに新郎新婦様に連絡してください。電話など直接連絡できる手段が望ましいです。
当日欠席することになった場合は、新郎新婦様に電話しても繋がらない可能性が高いので、メールで連絡します。後日改めて直接連絡しましょう。合わせて会場にも連絡してください。当日の連絡先などが共有されていればそちらに連絡しましょう。
当日までに余裕があれば電報を送るのもおすすめです。以下の記事も参考に欠席時のマナーを守りながら電報を送ってみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/7790/
会えない場合は郵送で
直接の手渡しが基本ではありますが、どうしても難しい場合は郵送で送りましょう。
ご祝儀を郵送で送る場合は以下の関連記事を参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6528/
6-2.受付をスムーズに済ますには
当日の受付をスムーズに済ませるコツを紹介します。受付係に渡すところまでスマートに決めたいところです。
貴重品とサブバッグを分ける
まず荷物が多い方について、バッグを分けて行くのが基本になります。貴重品を入れたメインバッグとその他の荷物を入れたサブバッグを持って行きましょう。
会場によってはクロークを通ってから受付するところもあります。ご祝儀はしっかりとメインバッグの方に入れましょう。その方が簡単に見つかるというメリットもあります。
サブバッグについては以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/7038/
受付の済ませ方
受付では出欠席の記録、ご祝儀の預かり、席次表の配布を行っているのが基本です。式によっては芳名帳を書いたり、参加型の結婚証明書があったり、メッセージを書いたりすることもあるでしょう。
はっきり名乗ること、ご祝儀がスムーズに出せること、記入などの作業は邪魔にならないところで行うことができていれば、受付の渋滞要因にならずに済みます。早めに受付を通っておくのもおすすめです。
初めての参加で流れなどを知りたい場合は以下の記事で予習しておきましょう。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/7363/
結婚祝いを気持ちよく渡して、結婚式を楽しもう
新郎新婦様へのお祝い方法について紹介しました。ご祝儀1つとっても決まり事が多いですが、フォーマットが統一されていることで新郎新婦様での管理がしやすくなっています。面倒がらずに周りと合わせた方法で用意してみてください。
新郎新婦様がご祝儀袋を目にするのは結婚式後です。楽しい思い出を壊さない、素敵なご祝儀袋でお祝いの気持ちを伝えましょう。