ご祝儀袋を準備する際、中袋(中包み、内袋)に住所を書く必要はあるのだろうか、と疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。
「新郎新婦は住所を知っているので書かないのが正解ではないか」
「細かい字を書くのが苦手」
「住所が長いから書きたくない」
招待状が届いているということは、新郎新婦はすでに住所を知っているということです。わざわざ記載するのに疑問を感じてしまうのは無理もありません。
しかし、ご祝儀袋に住所を書くことには意味があります。本記事では元ウエディングプランナーが住所を書く理由やメリット、書かない場合について紹介していきますよ。
なぜ中袋に住所を書くのか知り、それから書かなくてもいいのか判断してみてください。
中袋に住所を書く理由とは
中袋には基本的に住所を書きますが、結婚式に出席し受付に直接渡す場合は書かなくてもいいです。では、どうして住所を書いた方がいいのかを説明していきます。
ご祝儀は結婚する2人のためのお祝いである、ということをしっかり頭において、相手に対する配慮を忘れないことが大切です。
出席者のご祝儀の管理のため
ご祝儀袋には、名前・住所・金額を記載するのが一般的です。
これには、新郎新婦が誰からいくらもらったのか、という情報を管理しやすくする目的があります。新郎新婦はたくさんのご祝儀をもらうので、中袋に書いてあるだけでひと目で確認できるのがうれしいですね。
結婚式では受付が設けられている場合が多く、出席者はこの受付で名前を伝えたりご祝儀袋を渡したりします。
受付では、ご祝儀は名前の確認とともに受付係が預かるだけです。金額などの確認は特に行われず、中身は新郎新婦が結婚式後に開封してはじめてわかります。
あまり考えたくはないですが、万が一新郎新婦の手元に届く前にお金の抜き取りが起こってしまっても、金額が書いてあれば異変に気づきやすいですね。
住所が書いてあるメリット
住所はご祝儀を頂いた相手に品物や手紙などを送る際に使われます。
ご祝儀は贈る相手からの気持ちではありますが、新郎新婦が多くもらいすぎてしまったと感じる場合もあるでしょう。そういった際には、新郎新婦からお祝いを頂いたお返しとして内祝いの品などが送られることがあります。
もちろん住所は把握している場合が多いですが、中袋に記載してあれば、わざわざ探す手間が省けますよね。
また、結婚式を欠席した方への報告の年賀状など手紙が送られる場合もあります。その場合に住所が使用される可能性があるということは覚えておいてくださいね。
名前が書いてあるメリット
名前は、新郎新婦がご祝儀を誰からいただいたのか管理する際に活躍します。
のし袋にしか記載がないと中身を開けてからまたのし袋を確認しなければなりません。数が多くなってくると混ざってしまうこともあるので中袋にも住所・名前を書くのが親切です。
またご祝儀払いの結婚式場の場合、ご祝儀袋をその場で全て開けます。タイムリミットも迫る中支払いを済ませるので、誰からいくらもらったかを覚える暇も記録する暇もありません。
誰からいくらもらったかは中袋に記載がないと分からなくなるので、書いた方がデメリットはありませんよ。ちょっとしたことに感じるかもしれませんが、受け取る人の気持ちになると、あると嬉しい気遣いではないでしょうか。
欠席の場合
結婚式を欠席する場合には、手渡しでも郵送でも中袋にはしっかり住所を記載しておくのがいいでしょう。結婚式に出席している場合よりも、お返しやお礼の手紙などが届く可能性が高いため、新郎新婦の負担を減らすためにも記載しておくのがマナーです。
現金書留用の封筒にも住所を記載する欄がありますが、住所管理のためだけに現金書留用封筒まで保管するのはめんどくさいですよね。そういった事情にも配慮するならば、ご祝儀にはしっかり住所まで記載するようにしましょう。
中袋の表面の書き方
中袋の書き方には正しいマナーがあります。お祝いの場ですから、お互いに気持ちよく受け渡しができるように、しっかり知識を持っておくことが大切です。
普段あまり使うことのない字体を使用するので、下書きをしたり、試し書きをしたりと、時間に余裕を持って準備しておくと安心ですね。
金額は旧字体で書く
中袋には、万が一の書き換えを防ぐために、旧字体で大きく金額を記載します。
「一・二・三」に比べて「壱・弐・参」の方が、画数が多く、書き換えもやりにくいですよね。普段あまり使い慣れていない漢字のため、書き間違いがないよう注意する必要がありますね。
▼例
3万円 | 5万円 | 7万円 | 8万円 | 10万円 |
金 参 萬 円 |
金 伍 萬 円 |
金 七 萬 円 |
金 八 萬 円 |
金 拾 萬 円 也 |
金額が10万円以上の場合には、金額のあとに「也」を付け加えます。
字は太く濃く書く
文字は毛筆、または筆ペンを使用して書くのがマナーです。筆が苦手という方もいるかもしれませんが、なるべく書きやすい筆ペンなどを探して、サインペンの使用は避けてください。
また、筆ペンには薄墨タイプも販売されていますが、これは弔事用に使用するものです。誤ってご祝儀に使用しないよう注意しましょう。
金額を書く理由
ご祝儀の中身が盗難などに合っていないかを確認するためと、新郎新婦がひと目で金額を把握するために、中袋には金額を記載します。
結婚式では、すぐに新郎新婦はご祝儀を受け取れません。ご祝儀袋は新郎新婦のもとにいくまでに、他の人を経由するため、抜き取りなどの盗難にも備える必要があります。
また、新郎新婦はたくさんのご祝儀をもらって、管理することになるので、中身がわかりやすいというのは大切なポイントです。誰にいくらもらったのか、まとめておく場合にもいちいち中身を見ながらよりも、封筒を見てさっと把握できる方がうれしいですよね。
中袋の裏面の書き方
中袋の裏面には、ご祝儀を渡す人の名前と住所を記載します。大きさや数字の書き方など、迷う部分もあるかと思いますが、大切なのは、読む人の気持ちになって書くことです。
自分が受け取る側だったら、どのように記載してもらったら読みやすいか、ということを常に意識してみて下さい。文字の得手・不得手もあるかと思いますが、お祝いの場ですので、なるべく丁寧に書くことを心がけるといいですね。
住所と名前を縦書きで書く
一般的には、封筒の左下部分に、縦書きで住所と名前を記載します。郵便番号や番地、マンションの部屋番号などの数字部分には、漢数字を使用し、省略せずにすべて書くのがマナーです。
文字が小さくて潰れてしまったり、走り書きで読みにくいといったことがないよう、相手に配慮した書き方を大切にしましょう。
見やすさを重視して書こう
もちろんマナーも大切ですが、読む相手にとって見やすい書き方であるかどうかが重要なポイントです。
例えば、漢数字の「一」「二」「三」が縦に並ぶと、数字の判断が難しいですよね。そういった場合には、書き方に工夫をしたり、無理に漢数字にこだわったりせずに見やすさを重視します。
▼例
12 | ||
〇 | 〇 | × |
十 二 |
12 | 一 二 |
「一二」は縦に並べると「三」と間違えてしまう場合や、相手を迷わせる心配があります。そのような場合には、自分が新郎新婦だったら、どう書くのが見やすいのかという基準で判断しながら書くのがいいですね。
また、マンション名が長く文字を細かく書かなければならない場合などは毛筆でなくてもかまいません。見やすさを優先してサインペンやボールペンで書くか、2行に分けて書いても大丈夫です。
連名の時は
ご夫婦で参加する場合には、一人のときと同様に名前と住所を記載します。住所の横に夫の名前、その横に妻の下の名前のみを記載するのがいいでしょう。
友人同士や会社の部署などからお祝いを渡す際には、封筒の左側に名前と住所が収まる2・3人程度であれば、左下にそれぞれの名前と住所を記載します。順番は、年配者や役職など上の立場にあたる人を右側に配置しましょう。
連名の人数が多い場合には、封筒に無理に記載するのではなく、代表者の名前のみを書くか、何も書かないようにします。その際は、全員分の住所と名前を別紙に書いて同封するのがスマートですね。
よくある質問
あまり頻繁に書くこともないご祝儀袋は、書き方を忘れてしまったり、誤字や書き方を間違えたりといった不安もあるでしょう。
慣れることはなかなか難しいかもしれませんが、事前にしっかりと書き方の知識を得て、下書きや試し書きなどといった対策をすることで、ある程度の不安は解消できます。
書き始めるまえに、自分の中で疑問点や不安点をすっきり解決しておくことが大切ですね。
Q.ご祝儀袋の短冊を書き損じたらどうしたらいいか
A.新しい短冊に書き直してください。
のし袋に短冊を二重に重ねて「喜びを重ねる」という意味を持たせるために、短冊が複数枚入っている場合もあります。書き損じてしまった場合には、これを予備として利用するのがおすすめです。
短冊を二重にしたい場合は短冊だけを追加購入するのがいいでしょう。ただし、地域によっては2枚重ねを偶数として嫌う場合もあるので、結婚される方の地域に合わせて事前に調べておくと安心ですね。
Q.中袋を書き損じたらどうしたらいいか
A.新しい中袋か中包みに書き直してください。
修正テープや修正液を使っての訂正もマナーとしてはあまり好ましくないので、控えておくほうがいいでしょう。
中袋は白色無地の金封や半紙で代用して大丈夫です。ご祝儀袋だけに限らず、不祝儀袋にも使用できるので、念のためストックしておくのもいいですね。
用意が難しい場合には、100均など手頃な価格でご祝儀袋を再度購入し、中身だけを使用する方法もありますよ。
Q.ご祝儀袋に住所を書かないのはありか
A.基本的には記載してください。
前項目でも記載した通り、住所は基本的には記載するものだと認識しておきましょう。
書かないのは親族からや、直接会う機会が多い、お返しの必要がない、結婚式当日に渡す場合などに限ります。書かなくても新郎新婦を困らせないことを基準に考えるのが大切です。
ご祝儀の中袋に住所の欄が設けられている場合には、空欄にすると不自然になりますので、必ず記載しておくのがいいですね。
まとめ:新郎新婦様を困らせないように準備しよう
ご祝儀袋に住所を書かないのはどんなときか紹介しました。中袋の住所は前述した一部の場合を除き、ほとんどの人が記載しておく方がいいでしょう。
住所が長かったり、書きづらいなど、記載したくない理由は多々あるかと思いますが、せっかくの結婚式で新郎新婦を困らせてしまうのは避けたいですよね。住所の記載は少し手間のかかることですが、それによって新郎新婦側の負担を減らしていると思うといいかもしれません。
ご祝儀袋の用意は、書き方のマナーなど気を配ることが多く、大変な作業です。正しく準備できているのか不安に思う方も多いかもしれません。
本記事を参考にしながら、しっかり事前に知識を付けておけば、今後も役に立ちますよ。なにより、ご祝儀袋は、新郎新婦へのお祝いの気持ちを持って、配慮しながら準備していきたいですね。
本記事が少しでも参考になれば幸いです。ご祝儀袋の用意マナーについては以下の記事も参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6540/