結婚式の延期・中止の費用って？ 注意点を元プランナーが解説

結婚式は何か月も前から予約するため、途中で延期せざるをえなくなるカップルも少なからずいらっしゃいます。

しかし、すでに契約したものを延期や中止できるのか、その場合キャンセル料がどのくらいかかるのか心配は尽きないですよね。

「結婚式の中止っていくらかかるの？」
「延期にしたら何をする必要がある？」
「招待状を出してしまったけど延期可能？」

今回は元ウエディングプランナーとしての経験から、結婚式を延期や中止するときの対応について解説します。

延期や中止を考えている方だけでなく、これから式場の予約をする方も知識として知っておいて損はありません。

おふたりが安心して対応できるよう延期時の注意点も解説していくので、ぜひ参考にしてください。

そもそも結婚式の延期は可能なのか

結婚式の延期は可能です。旅行と同じで前々から予約するため、準備を進める中で予定が変わることはありえます。

ただし、式場のルールや延期のタイミングによっては、延期費用やキャンセル料金が発生するので注意が必要です。不可抗力的な理由であれば費用について柔軟な対応をしてもらえることもあります。

▼不可抗力な理由の例

同じ式場で結婚式を延期する場合は日程の変更ができます。ただし、希望の日程が空いていれば自由に変更できるわけではありません。式場のルールによって、変更できる期間や回数が決まっています。

基本的には日程の変更料金と実費のみですが、タイミングによっては見積もりに対して〇％など、キャンセル料がかかることもあります。

延期と中止の違い

予約した日時で結婚式を行えなくなった場合、選択肢は日程を延期するか、その式場での結婚式を中止するかの2択です。

予約の日時に結婚式を行えなくなった場合、延期対応にする方が多くなっています。キャンセルにした場合でも、フォトウエディングに切り替えたり数年後に結婚式を行ったりとセレモニー自体を無くすことは稀です。

本契約と仮契約でも違う

式場の予約には本契約と仮契約とがあります。

仮契約は希望の日取りを一時的にキープしてもらうだけです。仮予約とも呼ばれ、5日～10日間くらい猶予があり期間内にお断りしてもキャンセル料は取られません。

しかし、本契約では日時を確定し正式に契約を交わすため、延期や中止でキャンセル料が発生します。キャンセル料は契約書の約款に記載があるので、サインする前にしっかり確認することが大切です。

結婚式を延期するときのポイント

結婚式の延期にはお金がかかります。また、延期したらそれに付随したタスクが発生することも。

本項目では延期料金についてと、延期したときのマナーや手順を紹介していきます。

延期料金の相場について

結婚式場を予約するときは契約書に署名して契約を交わしますが、その中に約款があります。約款とは、契約における顧客と式場との約束や条件が記されたものです。

約款には、日程変更を申し出た際に必要な手続きや、延期料金についての具体的な記載があります。他にも契約成立日、日程、個人情報の取り扱い、人数など契約にまつわる事柄が記されているでしょう。

約款は細かく読むのが面倒ですが、よく確認しておくことが大事です。

延期でも料金が発生する理由

同じ式場で日にちを変えるだけなのに、なぜ延期の料金がかかるのか聞かれることも多いです。延期料金が発生する理由はいくつかあります。

▼空いた日の損失を補うため

式場を予約するときは、内金（申込金）が必要です。
内金は結婚式の費用に充当されますが、希望の日程で式場を押さえるための補償金でもあります。
延期によってその日が空いてしまえば、式場側にとっては損失です。
そのため、結婚式を延期する場合は、内金の一部もしくは全額が延期料金に充てられます。

▼キャンセル料が発生するアイテムや演出があるため

すでに打ち合わせが始まっていれば、注文した備品や演出などのキャンセル料が必要な場合もあります。
招待状や席次表などのペーパーアイテム、賞味期限のある引き出物類は実費での支払いが必要です。
映像などの演出もすでに手掛けていたらキャンセル料、確保料、人件費がかかります。
打ち合わせのときに変更期日を確認しておくと安心です。

結婚式を延期する場合の手順

結婚式を延期する場合は以下の用な手順で手続きを進めてください。

1.契約書の規定を確認し、まずは相談する

延期の話し合いと同時に、契約書の規定を確認することも大切です。
結婚式を延期する条件やキャンセル料などをチェックしましょう。
プランナーへも、一日でも早く相談してください。延期するか迷っている段階での相談でも大丈夫です。
キャンセル料は日数で変動するので、後回しにすると料金が上がる可能性もあります。

2.手配していたアイテムを延期・キャンセルする

すでに手配していたアイテムの延期やキャンセルも行っていきます。
式場で手配したものはプランナーが対処してくれますが、ふたりが個別で手配したものは自分たちで手続きしなければなりません。
延期後の日程が決まっているかどうかで対応が異なるケースもあるので、確認しながら手続きを進めていきましょう。
忘れがちなのはドレスなど衣裳です。
親族もレンタルしているのであれば併せて確認しましょう。

3.ゲストへ連絡する

結婚式に招待するゲストへの連絡も必要です。
メールなどですみやかに連絡をし、後日改めて封書でお詫び状を送ります。
マナーなどについては次の項目を参考にしてください。

ゲストへの連絡マナー

結婚式を延期した際にもマナーに則ってゲストに連絡しましょう。お詫び状は早急に送る必要があるので、パソコンなどで作成し印刷して郵送します。

▼目上の人から連絡を入れていく

主賓や上司など目上の方や、受付などを依頼した方には、電話か対面で直接伝えるのがマナーです。
友人よりも先に連絡してください。
上司には会社で直接伝えるとよいでしょう。
親族へは、両親から連絡してもらったほうがいい場合もあります。

▼お詫び状に書く内容

お詫び状は式場で手配してもらえるので、延期の相談とともに聞いてみましょう。
外部で発注していた場合、お詫び状も対応している業者もあるので探してみてください。
お詫び状には結婚式を延期する旨とメッセージを添えます。

▼お詫び状の書き方

一般的な手紙と同じように頭語・結語・時候の挨拶を入れて書くのがポイント。
返信はがきで出席と回答してくれた感謝と、延期する旨、開催日程が決まっていれば新しい日程をお知らせします。
未定の場合は、改めて招待状を送ることを添えておきましょう。
時候の挨拶は季節に合わせて変え、新郎新婦の連名で締めることで丁寧な印象を与えます。
乾杯の挨拶など役割をお願いしていた人に対しては、延期になった日程でも都合が合えば引き続きお願いしたい旨を添えておくと丁寧です。

結婚式を延期するときの注意点

ここでは、結婚式を延期するときの注意点を解説します。

延期を考えているときは、いろいろ悩んでしまって正しい判断ができないことも多いです。チェックリストを作って、ひとつひとつ確実にこなせるようにするといいでしょう。

必ず両家で話し合ってから決める

結婚式を延期するときは、必ず両家で話し合ってから決めることが重要です。ふたりだけで進めてしまうと、両家の意見の相違でもめることもあります。

両親が結婚費用を負担してくれるのなら、なおさらです。延期料金を誰が払うかも話し合わなければなりません。

家族とこじれそうな場合は、第三者であるプランナーも交えて話し合うといいでしょう。

キャンセル料の内訳に納得してから進める

キャンセル料がいくらかかるのか提示されたら、総額ではなくキャンセル料の内訳も確認しましょう。式場によっては、キャンセル料が高額になるケースもあります。

納得できない場合は、予約をキャンセルして他の式場と契約し直すのもありです。式場によっては、キャンセル料を一部負担してくれることもあります。

延期費用が心配なときの対策

突然のことで結婚式を延期することになったり、情勢の変化の影響を受けるということはよくあります。

備えが多ければ心配いらないかもしれませんが、結婚式は高額な買い物です。余裕は多くなく、延期費用が発生すると困るという方も少なくありません。

そんな方に検討してもらいたいのが、保険と交渉です。

保険に入る

ブライダル保険は、結婚式が延期や中止になったときに使える損害補償保険です。衣裳や会場設備の破損、出席者の救急搬送など、当日に予期せぬ事態が起こったときにも利用できます。

掛け金によって対象のサービス内容は異なりますが、比較的少額で入れるので利用するカップルも多いです。結婚式の45日前まで加入できるので、心配な方は入っておくと安心でしょう。

料金を下げる交渉を入れてみる

契約書に署名した段階で、延期費用の規定を承諾したことになります。しかし、事情によっては、式場側が譲歩してくれる可能性もゼロではありません。

ダメもとで、料金を下げられないか交渉してみるのもいいでしょう。不安な気持ちを抱えたままでは伝わりませんので、まずは相談してください。

延期費用に納得できない場合は、国民生活センターや消費者センター、弁護士などに相談してみる方法もあります。

結婚式を中止するときのポイント

延期ではなく中止することを決めた場合は、契約書の内容に従ってキャンセル料を支払いゲストに連絡します。

連絡方法などは延期のときの対応とほとんど一緒です。中止が決まったら迅速に連絡しましょう。

中止する場合のキャンセル料

中止する場合のキャンセル料は結婚式までの残り日数で決まります。前日など結婚式までの期間が短いほど解約料が上がるので、中止を決断したらすぐに式場側に申し出ましょう。

結婚式の打ち合わせはおよそ５か月前から本格的に始まります。それまではキャンセル費用は申込金の全額もしくは一部と、それまでにかかった実費のみの設定になっていることがほとんどです。

しかし、150日をきると「見積もりの〇％+実費」となり日にちが過ぎるごとに割合が増えていきます。

中止するときの対応

結婚式をしないことに決めたら、まずは結婚式場に連絡し、契約を解約します。結婚式場を通じて頼んでいたアイテム類は結婚式場側で対応してくれるのでノータッチでOK。

外部から持ち込み予定だったアイテムについてもキャンセル連絡を忘れないようにしましょう。ゲストへの連絡はLINEなどですぐにお知らせし、その後お詫び状を封書で送ります。

まとめ：トラブルなく結婚式を延期しよう

結婚式の準備は楽しいものですが、ふたりや家族の事情、不測の事態などによって、延期することもありえます。

結婚式の契約書には、延期や中止に関する規約が記載されているので、契約時にはきちんと把握しておくことが大切です。

延期の可能性が浮上した場合は、すみやかにプランナーに相談すれば、ふたりがどう動いたらいいかも教えてくれます。

後回しにするほどトラブルになりやすいので、今回の記事も参考に適切なタイミングで対処していきましょう。