結婚式で花嫁が持つブーケ。最近では、生花ではなく造花のブーケを選ぶ方も少なくありません。
みずみずしさや特別感を感じられる生花と、手軽でそのまま飾っておくこともできる造花。それぞれに良さがあり、どちらにするか決められず迷っている方も多いでしょう。
そこで今回は、式場専属のフラワーコーディネーターとして多くのブーケを手掛けた筆者が、ブーケを選ぶポイントを解説します。
その他の選択肢や状況ごとのおすすめのブーケも紹介しているので、ブーケ選びで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
ブーケは生花のみ? 造花でもいい?
花嫁のブーケは、生花でなければダメというわけではありません。しかし、生花はひとつとして同じものはなく、その瞬間だけの美しさを表現できるのは大きな魅力です。
一方で、造花は生花ほどの繊細さには欠けますが、近年はクオリティも高く見栄えもいいので、見劣りすることはありません。
それぞれおすすめのパターンを比較してみましょう。
造花ブーケがおすすめのパターン
前撮り撮影と結婚式、海外挙式と国内のパーティなど、複数回ブーケを持つ機会がある場合は、1つで済む造花のブーケが便利です。
また、造花は水が必要ないため、自由にデザインできます。花冠やリースブーケなど、細かい細工が必要なアイテムにもおすすめです。
生花ブーケがおすすめのパターン
結婚式でブーケを持つのは新婦だけ。特別なアイテムだからこそ、フレッシュな生花で作った自分だけのブーケを持ちたいという方も多いです。
繊細な生花でできたブーケは、花嫁姿を上品に彩ってくれます。鮮やかでみずみずしい生花の重みで、揺るぎない幸せも感じられるでしょう。
華やかさと特別感を重視したい場合は生花ブーケがおすすめです。
造花ブーケのメリット/デメリット
造花は生花に似せて作られたものですが、品質のよいものは近くでみないと本物と見紛うことも。生花にはない色や大きさも作れるので、造花だからこその大胆なアレンジも可能です。
萎れたり枯れたりすることがないため、綺麗な状態でそのまま飾っておけます。
造花ブーケのメリット
造花は生花と異なり、時間をかけて準備をすることができるので、とことんこだわることが可能です。
造花ブーケのメリットには、次の3つがあります。
- 価格が安く軽くて持ちやすい
- 使う前にデザインが確認できる
- 季節を問わず好きな花材が使える
1.価格が安く軽くて持ちやすい
造花ブーケは生花と比べて価格を抑えやすいため、節約したい花嫁には大きなメリットです。
また、生花は水分を含むため重くなりますが、造花はシルクやプラスチックといった軽い素材で出来ています。
丈夫で束ねても軽くて持ちやすいのも、造花ブーケの魅力的なポイントです。
2.使う前にデザインが確認できる
造花ブーケは、自分のイメージ通りになっているか、購入前に確認することができます。
造花は、結婚式の数日前に用意しても枯れる心配がないからです。
ブーケに加工する前の素材の状態で、雰囲気を見ておくこともできます。
好みがはっきりしていて、こだわりが強い場合は事前にデザインを確認できると安心ですね。
3.季節を問わず好きな花材が使える
造花であれば、冬にひまわり夏にチューリップといったように、季節を問わず1年中好きな花材が使えます。
ただし、いくら造花といえども旬があり、常にどの種類のお花もあるわけではありません。
旬ではないお花は、早い時期から用意しておけるように余裕を持ってスケジュールを組みましょう。
造花ブーケのデメリット
一方で、造花ブーケのデメリットは主に次の3つです。
- 持ち込み料金がかかることもある
- 安いと品質が落ちる
- 香りやみずみずしさがない
造花ブーケは生花に似せたものなので、生花の良さは得られません。また、式場提携の花屋では、造花ブーケを扱っていないところもあります。
1.持ち込み料金がかかることも
造花ブーケを外部の花屋に依頼したりネットで注文したりすると、持ち込み料金がかかることもあります。
持ち込み料金によっては、提携の花屋で生花ブーケを注文するより高くなることもあるので、事前に確認しましょう。
また、そもそも持ち込みがNGなこともあるので、事前の相談は必須です。
2.安いと品質が落ちる
相場より安価な造花は、品質の高いものに比べると見劣りしてしまいます。
チープな素材を使っていたり、つくりも雑なところがあるからです。
花嫁のブーケは、一生に一度の特別なシーンに持つもの。
値段だけでなく造花の質にも気を配りましょう。
3.香りやみずみずしさがない
造花には、生花が持つナチュラルなお花の香りはありません。
作りものなのでみずみずしさもなく、実物に比べると花びらに厚みが硬さがあるのが特徴です。
そのため、ブーケ全体が柔らかさよりハリのある質感になってしまいます。
香りや手触りを完璧に再現することは難しいでしょう。
生花ブーケのメリット/デメリット
生花ブーケは、一輪一輪をフローリストが厳選して、丁寧に作り上げます。同じ種類のお花であっても、ひとつとして同じものはありません。
また、旬のお花を使うことで季節感を感じられるのも、生花ブーケの特徴です。
生花ブーケのメリット
生花ブーケのメリットには、主に次の3つが挙げられます。
- 花の香りとみずみずしさがあり、特別感がある
- 結婚式後に加工できる
- プレゼントにもできる
さらに、本物が放つ輝きや繊細さが、花嫁を美しく彩ってくれるのです。
1.花の香りとみずみずしさがあり、特別感がある
花嫁を引き立たせてくれるのは、ブーケのデザインだけではありません。
生花ブーケの一番の良さは、お花の持つ香りやみずみずしさ。
自然の香りやフレッシュさ、持ったときの重みまでもが、特別を感じさせてくれます。
2.結婚式が終わった後に加工できる
生花ブーケはそのままだと枯れて終わりですが、結婚式後に加工して大切に保管することも可能です。
押し花にして額装したり、立体のプリザーブドフラワーにしたりすれば、結婚式の素敵な思い出とともに飾っておけます。
3.プレゼントにもできる
生花ブーケをプレゼントとして、そのまま大切な方に贈れば喜んでもらえるでしょう。
幸せのお裾分けとしても最適なアイテムです。
親友に手渡しで贈ったり、ブーケプルズにしたりすることで、結婚式の演出にもなります。
生花ブーケのデメリット
一方で、生花ブーケのデメリットは、主に次の3つです。
- 1日しか保てず管理に手間がかかる
- 当日まで確認ができない
- 価格が高め
同じお花でも、季節によって単価が異なったり咲き具合が違ったりするので、イメージ通りに作るのが難しいときもあります。
1.当日しか保てず管理に手間がかかる
生花ブーケは、長持ちせず1日が過ぎる頃には萎れてきます。
水を含んだオアシスを使っていても、十分なお水に浸していないからです。
また、仕上げをぎりぎりに行ったり、専用の冷蔵庫に保管したりと、温度管理にも手間がかかります。
長時間持っていたい場合などには向いていないでしょう。
2.当日まで確認ができない
結婚式直前に仕入れたお花で当日に間に合うように作る生花ブーケは、事前に確認することができません。
イメージ写真があっても、花の咲き具合や色の出かたは完全に同じにはできないので、その点は考慮する必要があります。
3.価格が高め
造花ブーケは必要本数ぴったりで作れますが、生花ブーケは多めに仕入れます。
お花に傷があったり小さかったりしたときの予備も必要だからです。
ブーケのデザインによっては特殊なテクニックも必要で、総合的に価格が高めになる傾向があります。
装花パックで販売されていることもあり、単体だと高くなる可能性も。
生花ブーケは一点もので、贅沢にお花を使用するため価格が高くなるのです。
ドライフラワーという選択肢
生花でもなく造花でもなく、ドライフラワーのブーケという選択肢もあります。インテリア性の高いドライフラワーは、ざっくり束ねただけでも見栄えがよいため、トレンドに敏感な花嫁にも人気です。
ドライフラワーブーケのメリット
ドライフラワーブーケのメリットは、次の2つが挙げられます。
- 独特の風合いがおしゃれ
- 長期保存ができる
造花とは異なり、生花を使っているため、一輪一輪に個性があるのも特徴です。
1.独特の風合いがおしゃれ
ドライフラワーが持つ独特の風合いは、クラシカルな披露宴会場やシックな大人ウェディングにもよく似合います。
上質なドライフラワーは発色もよく、くすみ系の絶妙な色合いがおしゃれスタイルの結婚式にぴったりです。
2.長期保存ができる
ドライフラワーブーケは、徐々に色あせていきます。
しかし、極端に萎れたり傷んだりすることはありません。
見た目が変わることなく長期間の保存が可能なので、そのままの形でインテリアとしてお家に飾っておけます。
ドライフラワーブーケのデメリット
一方で、ドライフラワーブーケのデメリットは、主に次の2つです。
- 風水的によくない
- 崩れやすい
生花を乾燥させたものととるか、水気がなくなって枯れたものと考えるかで異なります。
1.風水的によくない
ドライフラワーは枯れた花なので、良い気が入ってこないと風水では考えられています。
そのため、ゲストの中には、縁起が悪いと考える方もいるかもしれません。
しかし、最近では見栄え重視で、気にする方も減っています。
2.崩れやすい
乾燥させたドライフラワーは、水気がないためちょっとしたダメージで崩れやすくなっています。
また、崩れたときに欠片が舞うと、ドレスや周囲を汚してしまうかもしれません。
茎も引っ掛かりやすくなっているので、ドレスを傷めないよう持ち方や移動方法にも注意が必要です。
状況別の結婚式におすすめのブーケ
ブーケをプレゼントしたい、記念にお家に飾っておきたいなど、ブーケをどうしたいのかによってもおすすめのブーケが異なります。
また、持ち込み料がかかる、かからないなど、選ぶことで何が変わるかも注意することが必要です。ここでは、さまざまな状況に合わせてどのブーケがいいのか、選ぶときの注意点などを紹介していきます。
前撮りと挙式で同じブーケを持ちたい場合
前撮りと同じブーケを持ちたいときは、造花やドライフラワーがおすすめです。
前撮りから結婚式まで日にちが空いてしまうので、生花だとそれぞれ用意しなければなりません。ウエディングドレスのブーケを造花やドライフラワーにして兼用し、カラードレス用を生花にするのもいいでしょう。
結婚式後も思い出として飾っておきたい場合
形を変えずに残しておきたいなら、造花のブーケがおすすめです。生花のブーケは、押し花やプリザーブドフラワーなどに加工できますが、全く同じ形では残せません。
ドライフラワーも色あせしていきます。自分がどのように飾っておきたいかで決めるといいでしょう。
持ち込み料をかけずにブーケを用意したい場合
式場提携の花屋でブーケを用意してもらえば、持ち込み料はかかりません。筆者は、式場内で生花だけでなく造花やドライフラワーのオーダーも受けていました。
しかし、花屋によっては生花のみのところもあります。結婚式場を探すときに、持ち込み料も含めて確認しておくと安心です。
ブーケプルズに使いたい場合
ブーケプルズに使いたいなら、生花のブーケがおすすめです。生花は長く持たないからこそ、特別感があります。
造花ブーケだと、ずっと保管しておかなければなりません。幸せのお裾分けとしても、数日飾ってなくなるくらいがちょうどいいでしょう。
生花ブーケを節約する方法
生花ブーケにしたいけれど、費用が高いという場合の節約方法を紹介します。生花を使いながらも節約できるポイントはあるので、検討してみてください。
ブーケを手作りする
リーズナブルにブーケを手作りする方法もあります。手作りするなら、束ねるだけのクラッチブーケがおすすめです。
作り方は簡単で、長さを揃えてお花を束ね、持ち手の部分を輪ゴムや麻ヒモなどで縛るだけ。持ち手をリボンで結べば出来上がりです。
持った姿を鏡でチェックしながら作ると、バランスよく整えられますよ。
贈呈用の花束に活用する
造花がよかったけれど生花ブーケにせざるを得ないときは、贈呈用の花束に活用する方法もあります。クラッチブーケなら、ラッピングして花束にすることも可能です。
贈答用分のブーケ費用が浮くでしょう。ただし、ラッピング代や加工料などが別途必要になるので、予算には注意してください。
まとめ:自分にぴったりのブーケを見つけよう
ブーケは、生花だけではありません。造花やドライフラワーでも、素敵なブーケが作れます。
生花は香りやみずみずしさがあり、ほかにはない特別感が魅力です。一方で、造花ブーケは枯れる心配がなく、そのままの形で飾っておけるなどのメリットがあります。
どちらにもメリットデメリットがあるため、自分が何を重要とするのかで決めるのも大切です。ぜひお気に入りのブーケを見つけて、素敵な花嫁姿を披露しましょう。